理容の世界は、始めに学ぶべき技術はシャンプーです。そしてシェービングを学んでカットに移って行くわけです。「理髪コダマ」は有名店で常にたくさんのお客様が来店されていました。従業員もお昼ご飯を食べる時間がないほど忙しい毎日でした。

 そんな中、私の役割は、従業員のお昼ご飯を食べさせて上げられる役割を担っていました。シャンプーやシェービングの合間に技術者は食事を取るのですが、私がいるからこそ技術者が食事にありつけることができる!と自分の大切さを自らが感じて仕事をしていました。

又、先輩にもすばらしい人がたくさんいてとても丁寧に教えてもくれました。今でも感謝をしているのが貝島さんです。

 彼は私より一回り近く上の年齢でしたが半年早く私より入店しました。そんな関係でとても仲良くしてくれ、彼のひげの濃さが私にとって毎日事欠く事のないモデルとしてシェービングのモデルになってくれました。


 始めのころはへたくそで顔から血が噴出してくるし時には傷をつけてしまうこともありました。しかし次第に上手くなってきて彼の眠り声が聞けるようになると自信を深め、顧客が安心して眠っていただける事が、自分の励みとなってきたのです。彼が安らかに眠りについてくれることは、今でも自分自身がとても心地よい時間だったと記憶しています。