私は高校一年生のときに理容学校の通信課程を進学していましたから、なんと3年生の秋には理容学校を卒業していたのです。つまり、3年の秋から春にかけてはインターン時代を過ごしたことになっており、高等学校を卒業と同時に半年で理容のライセンスを取る試験を受験できる資格も持っていたのです。


 同じ年の同僚達はすでに技術者として一人前に仕事をしている姿はとてもまぶしく感じました。丁稚奉公とまでとは行きませんが、集団での生活は自分にとってはとても愉快でした。子供のころの寮生活になれていたせいか、集団生活は不思議でもありませんでした。共に寝起きをして、共に仕事をして共に勉強をする姿は24時間一緒にいる時間は実に充実していた。


 そんな中で大きな失敗をしたことがありました。それは「寝坊」です。ふと目が覚めると、周囲の布団がきれいに片付いている。そして壁ひとつ離れた、お店からは、ドライヤーのうなり声が聞こえてくるのです。目が覚めた瞬間、自分がどこに居るのか疑問に思っていましたが、自分だけ完全に取り残されていたのです。直ぐに起きて店に出るのですが、これがとても出にくく、先輩方の視線が厳しく感じられました。そんな失敗があったからこそ、寝坊をする事がなくなりました。

 先輩方にはいろいろなタイプがいて、それは為になることたくさんありました。日本の理容業界では有名な人たちと共に仕事ができる環境は日々刺激の連続でした。