父との記憶には逸話がいくつかあり、その全てがいくつか遊んでくれた記憶でした。その代表的なのが、葉山に家族を連れて海水浴に連れて行ってくれた。子供たち三人をボートに乗せて沖へ漕ぎ出してくれたところ、子供達がじっとしていない為、ボートが転覆しそうになりました。瞬間、父が海に飛び込みボートの転覆を逃れることが出来ました。
しかしその海域は海底には藻がビッシリと生えていて、父は泳いでもなかなか前に進みません。ボートにしがみつくと再度転覆する恐れがあり、母は英断、父を残してボートを岸に向って漕ぎ始めたのです。父は残されたまま、ボートは離れて行きます。このときばかりはなんとも切ない思いが致しました。
そして子供達を岸に上陸させると、父は必死になって泳ぎ、何とかたどり着くことが出来ました。私の記憶の中で確かではないのですが、子供の感覚ではその距離は200mくらいあったように思います。たぶん父から母に「子供達を岸に上げろ!」と指示されたのだと思います。
父の強さを感じた大きな出来事でもあり、母の子供を助けようとする思いの強さを感じたときでもありました。