世界各地の旅をする中で、釣りにいそしむ時間を大切にしています。今回から何回かに分けて日本を始め、世界各地での釣り紀行を書いてみようと思います。
まずは国内での釣行では、北海道のサーモンフィッシングが代表的でした。日本では基本的にはサケマスの河川での釣りは禁止されていますが、いくつかの河川では調査を目的として釣行が認められています
私達がチャレンジしたのは忠類川で期間を限定してサケの溯上に合わせるように解禁となったものです。
今から10数年前になりますが、2年連続で釣行に参りました。
私達の釣りは、餌釣りは禁止されていて、ルアーのみの釣りになりました。魚にもいくつかの種類があり「シロサケ」や「カラフトマス」が代表的な魚達です。
特にカラフトマスのオスはセッパリと証されていて、その力の強さは半端では有りません。
キャストしてリトリーブすると強いあたりを感じます。時には口以外に針が掛かって、尾びれに掛かってしまった際にはとてもラインがもつ力ではありません。一気に50mくらいラインが出て行って、パッツンと切れる音がしてもって行かれてしまいます。
彼らは最後の力を振り絞って産卵の為に溯上しているのですから簡単につかまってなるものか!という思いもあるはずです。そのやり取りが力と力の極限の勝負になるわけです。
そして釣り上げた魚は決してリリースをしてはなりません。又、取り込む数も決められていて、釣り上げた数を報告する義務があります。
彼らは流れの速い川の深みを、産卵場所とし、そこを目指して溯上するのですが、我々にとっては、流れが速く対岸に渡ることは一人ではとても無理な状況です。友人達と手を携えて渡りきったときには流されずに良かった!!と不思議な安堵感を味わったものです。
そしてサケたちの産卵場所にたどり着き、産卵の瞬間を目のあたりにしたその光景は、とても釣りをすることが罪悪のように感じます。
数年間の旅を終えて最後の役割として子孫を残すために、傷だらけの姿で産卵を迎える瞬間は生命の尊さを改めて感じる瞬間でもあります。
しかしながら心無い人もいて、産卵間近のサケを手づかみにして、腹からイクラのみを取り出し、身は川原に捨て去る人を目撃いたしました。
あまりの仕草につい声を荒げた事を思い出します。
私達釣り人は、自然があるからこそ、魚達とのバトルを楽しむ事が出来るのです。しかし自然の営みを壊す事に抵抗があるのは釣り人だけではないはずです。
エコブームの昨今ですが、基本は自然環境を如何にして守る事ができるか!私達人類は自然から受けた恩恵を大切にしてこそ人間社会を豊かに暮らすことができます。己の都合だけで自然環境を壊してしまっては釣りすらも楽しむ事ができない!
そう強く感じる釣行でもありました。
しかし、産卵を間近に控えたサケの身は油分が完全に無く、パサパサで釣り上げたサケをお送りした友人から、せっかくいただいたのですが、今まで食べたサケの中で一番味気の無いものでした!と酷評をいただきました。私も同じ思いをしましたので、食べて美味しいものでは有りません。
溯上するサケにはその役割があるので釣りも禁止になっている意味が解りました。
次は海外釣行をお話いたします。
第一話はアマゾン釣行の話をいたしましょう。