今回は、日本の大学別ノーベル賞受賞者数をランキングにしてみました。


まだまだノーベル賞を受賞した日本の大学出身者が少ないので、ランキングというほどのものでもないですが・・・・。


いずれ日本の大学出身で日本国籍ではない人(要するに外国人)を排出していけば、ランキングとしての価値も出てくると思いますね。


ランキングは以下となります。


(大学研究大学院大学調べ)


順位        大学名          受賞者数

1位 東京大学(東京帝国大学含む)    6人

2位 京都大学(京都帝国大学含む)    5人

3位 名古屋大学                2人

4位 東北大学                  1人

4位 東京工業大学               1人

4位 長崎大学(長崎医科大学含む)    1人


受賞者一覧


湯川秀樹 京都帝国大学理学部物理学科(現・京都大学)

朝永振一郎 京都帝国大学理学部物理学科(現・京都大学)

川端康成 東京帝国大学文学部英文科(現・東京大学)

江崎玲於奈 東京帝国大学理学部物理学科(現・東京大学)

佐藤栄作 東京帝国大学法学部法律学科(現・東京大学)

福井謙一 京都帝国大学工学部工業化学科(現・京都大学)

利根川進 京都大学理学部化学科

大江健三郎 東京大学文学部フランス文学科

白川英樹 東京工業大学理工学部化学工学科(現・工学部化学工学科)

野依良治 京都大学工学部工業化学科

小柴昌俊 東京大学理学部物理学科

田中耕一 東北大学工学部電気工学科

南部陽一郎 東京帝国大学理学部物理学科(現・東京大学)

小林誠 名古屋大学理学部物理学科

益川敏英 名古屋大学理学部物理学科

下村脩 長崎医科大学附属薬学専門部(現・長崎大学薬学部)

今回は上場企業社長の出身大学トップ30です。


(プレジデント 2008年10月15日号)


1位  慶應義塾大学 334人

2位  東京大学 197人

3位  早稲田大学 193人

4位  日本大学 94人

5位  京都大学 77人

6位  中央大学 75人

7位  同志社大学 61人

8位  明治大学 55人

9位  一橋大学 50人

10位 大阪大学 47人

11位 関西大学 45人

12位 青山学院大学 40人

13位 立教大学 39人

14位 神戸大学 37人

14位 法政大学 37人

16位 関西学院大学 35人

17位 九州大学 34人

18位 東海大学 33人

19位 東北大学 32人

20位 成蹊大学 28人

20位 甲南大学 28人

22位 北海道大学 26人

23位 学習院大学 25人

24位 京都大学大学院 21人

24位 東京理科大学 21人

24位 立命館大学 21人

27位 上智大学 20人

27位 名古屋大学 20人

29位 慶應義塾大学大学院 18人

30位 横浜国立大学 17人

30位 東京工業大学 17人


これを見ると慶應・東大・早稲田の独壇場といったところですね。

大学は歴史とともにあります。


ある分野で一番の大学があるとすれば、それは今まで研究してきた歴史があったからです。


そこで、今回は「歴史のある大学」を調べてみたいと思います。


今回のランキングは、各学校が正式に近代的大学(いわゆる明治以降の学制、帝国大学令、大学令などの法令によって成立した大学)となった設立年のトップ30です。


(大学研究大学院大学調べ)


順位        学校名            設立年

1位  東京大学                 1877年

2位  京都帝国大学(現・京都大学)     1897年

3位  東北帝国大学(現・東北大学)     1907年

4位  九州帝国大学(現・九州大学)     1911年

5位  北海道帝国大学(現・北海道大学)  1918年

6位  府立大阪医科大学(現・大阪大学)  1919年

7位  東京商科大学(現・一橋大学)     1920年

7位  県立愛知医科大学(現・名古屋大学) 1920年

7位  慶應義塾大学              1920年

7位  同志社大学                1920年

7位  法政大学                 1920年

7位  明治大学                 1920年

7位  國學院大學                1920年

7位  早稲田大学                1920年

7位  中央大学                 1920年

7位  日本大学                 1920年

17位 東京慈恵会医科大学          1921年

17位 京都府立医科大学           1921年

19位 新潟医科大学(現・新潟大学)     1922年

19位 岡山医科大学(現・岡山大学)     1922年

(19位) 旅順工科大学(1945年廃校)   1922年 

19位 龍谷大学                 1922年

19位 立教大学                 1922年

19位 専修大学                 1922年

19位 関西大学                 1922年

19位 立命館大学                1922年

19位 東洋協会大学(現・拓殖大学)     1922年

27位 千葉医科大学(現・千葉大学)     1923年

27位 長崎医科大学(現・長崎大学)     1923年

27位 金沢医科大学(現・金沢大学)     1923年

27位 大谷大学                 1923年


旅順工科大学は、後身の大学が存在しないので本来ならランキング外ですが、存在していればランキングに入ると思うのでで記述してあります。


このランキングによると、私立大学が16校、国立大学12校、公立大学2校の構成となっています。


よく見るとこのランキングの中の国立大学は、1位の東京大学以外全て現在と大学名が違いますね。

近年世界はますますグローバル化しています。


日本の大学もそれに対応した経営をしていく時がきています。


そこで今回は、世界大学ランキングについて考えてみたいと思います。


有名なものとして、THESとNewsweekと上海交通大学のランキングがあるそうです。


今回は、その中の一つであるTHES(Times Higher Educational Supplement)を取り上げてみます。


THESは2004年からQuacquarelli Symonds(QS)と共同で毎年ランキングを発表しています。


以下をご覧ください。



THE - QS World University Rankings (http://www.topuniversities.com/worlduniversityrankings/ )


2008 2007      大学名                        国名

1 1 HARVARD University United States
2 2= YALE University United States
3 2= University of CAMBRIDGE United Kingdom
4 2= University of OXFORD United Kingdom
5 7= CALIFORNIA Institute of Technology(Caltech) United States
6 5 IMPERIAL College London United Kingdom
7 9 University College London(UCL) United Kingdom
8 7= University of CHICAGO United States
9 10 MASSACHUSETTS Institute of Technology United States
10 11 COLUMBIA University United States
11 14 University of PENNSYLVANIA United States
12 6 PRINCETON University United States
13= 13 DUKE University United States
13= 15 JOHNS HOPKINS University United States
15 20= CORNELL University United States
16 16 AUSTRALIAN National University Australia
17 19 STANFORD University United States
18 38= University of MICHIGAN United States
19 17 University of TOKYO Japan
20 12 MCGILL University Canada
21 20= CARNEGIE MELLON University United States
22 24 KING'S College London United Kingdom
23 23 University of EDINBURGH United Kingdom
24 42 ETH Zurich Switzerland
25 25 KYOTO University Japan
26 18 University of HONG KONG Hong Kong
27 32 BROWN University United States
28 26 École Normale Supérieure,PARIS France
29 30 University of MANCHESTER United Kingdom
30= 33= National University of SINGAPORE(NUS) Singapore
30= 41 University of CALIFORNIA,Los Angeles(UCLA) United States



日本の大学は19位に東京大学、25位に京都大学がランクインしています。


このランキングは、世界の大学を、研究力(研究者の評価40%、教員一人当たりの被論文引用数20%)、就職力(雇用者側の評価10%)、国際性(外国人教員比率5%、外国人学生比率5%)、教育力(教員数と学生数の比率20%)で評価しています。

特に配点の高い「研究力」についての調査は大学教授が他の教授にポイントを入れるという手法を用いています。ヨーロッパ41%、北米30%、アジア太平洋29%の比率で調査し、バランスを考慮しているようです。


ランキングはトップ200までを公表しており、トップ200までに入った日本の大学は、


19位 東京大学 (前回17位↓)
25位 京都大学 (前回25位―)
44位 大阪大学 (前回46位↑)
61位 東京工業大学 (前回90位↑)
112位 東北大学 (前回102位↓)
120位 名古屋大学 (前回112位↓)
158位 九州大学 (前回136位↓)
174位 北海道大学 (前回151位↓)
180位 早稲田大学 (前回180位―)
199位 神戸大学 (前回197位↓)


でした。

今回は大学の科学研究費補助金です。


科学研究費補助金とは、国から大学の研究者または研究グループに、学術研究費と交付される補助金のことです。


文部科学省およびその外郭団体である独立行政法人日本学術振興会を通して補助金が交付されます。


予算の額が大きく、文部科学省が研究課題を審査するため、重要な競争的資金の一つとなっています。


下記は科学研究費補助金の大学別新規採択と継続分の採択件数・配分額です。



文部科学省発表資料( http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/main5_a5.htm ) 


(金額単位:千円)

順位 大学名 採択件数 配分額(直接経費) 配分額(間接経費)合計

1位  東京大学   2,745  15,618,959   3,131,358   18,750,316
2位  京都大学    2,234  10,836,963   2,346,034   13,182,997
3位  東北大学   1,872  7,861,560   1,826,208    9,687,768
4位  大阪大学   1,863  7,591,953   1,540,636    9,132,588
5位  九州大学   1,360  4,498,290   989,967    5,488,257
6位  名古屋大学  1,315  5,105,180  1,073,754    6,178,934
7位  北海道大学 1,263  4,537,996   1,072,709    5,610,705
8位  筑波大学   886   2,477,900   551,730     3,029,630
9位  広島大学   796   1,962,552    474,495     2,437,047
10位 神戸大学   734   2,102,310    486,753     2,589,063
11位 東京工業大学 679   3,556,430    763,209    4,319,639
12位 慶應義塾大学 661   1,882,560    459,768    2,342,328
13位 千葉大学   597   1,493,850    336,495     1,830,345
14位 岡山大学   594   1,479,809    350,073     1,829,882
15位 早稲田大学  549   1,522,660   389,868     1,912,528
16位 金沢大学   518   1,168,330    290,589     1,458,919
17位 熊本大学   426   1,169,300    244,530     1,413,830
18位 新潟大学   418   890,521    221,196     1,111,717
19位 東京医科歯科大学 393  1,481,500  310,050   1,791,550
20位 日本大学   392   655,300     178,320     833,620
21位 長崎大学   375   824,580     213,774     1,038,354
22位 群馬大学   348   733,620     167,046     900,666
23位 徳島大学   341   792,780     190,734     983,514
24位 大阪市立大学  324 762,470     174,231     936,701
25位 山口大学   313   647,410     173,493     820,903
26位 鹿児島大学  307   621,980    169,914     791,894
27位 大阪府立大学  305  680,080    162,654     842,734
28位 信州大学   301   720,020    198,336     918,356
29位 愛媛大学   298    596,651    149,655     746,307

30位 富山大学   269    550,750    132,675     683,425


科研費が交付される研究分野は理系が多いので、相対的に理系分野の強い国立大学が優位に立っています。


ちなみにトップ30に入っている国立大学は25大学、公立大学は2大学、私立大学は3大学でした。

大学の学生数は、大学の体力でもあります。


学生数が多いということは、学生にとって第一志望の大学でなかったにしろ、要するに人気のある大学ということです。


多くの大学は、入学試験で入学者の何倍もの人数の学生が志願していることでしょう。


学生数が多い大学はこの少子化の時代にもうまく対応できる力があるのです。


要するに少々若者の数が減っても、学生数を減らせば良いのです。


学生数を減らしても、元々の学生の数が多いので、生き残っていける体力があるのです。


また、学生数が多い大学は、多くの人材を社会に排出することができるということです。


将来社会で活躍する人間を排出すれば、出身大学に貢献する人間も多くなるでしょう。


また、有名人を排出すれば、その有名人と同じ大学に行きたいと思う人も出てくるかもしれません。


そうすれば志願者も増えて、受験料の面で大学の収入も増加します。


このように学生数の多い大学は、大学経営において様々なメリットがあります。


そこで今回は大学の学生数について調べてみることにしました。


大学研究大学院大学調べによると・・・・


1位  日本大学 68,818人

2位  早稲田大学 47,654人

3位  立命館大学 33,013人

4位  近畿大学 30,801人

5位  東海大学 28,784人

6位  明治大学 28,703人

7位  慶應義塾大学 28,507人

8位  法政大学 28,018人

9位  東洋大学 27,688人

10位 関西大学 27,188人

11位 中央大学 25,991人

12位 同志社大学 24,034人

13位 帝京大学 23,379人
14位 福岡大学 20,197人
15位 専修大学 20,149人

16位 関西学院大学 18,842人

17位 青山学院大学 18,561人

18位 龍谷大学 17,892人

19位 神奈川大学 17,799人

20位 東京理科大学 17,699人

21位 立教大学 17,476人

22位 駒沢大学 16,312人

23位 大阪大学 16,203人

24位 名城大学 15,710人

25位 東京大学 14,085人

26位 国士舘大学 13,536人

27位 京都大学 13,305人(2007年度)

28位 中京大学 13,290人

29位 京都産業大学 12,795人

30位 大東文化大学 12,559人


という結果でした。


はっきり申しまして、世間に名の知れた大学ばかりです。


30大学中27大学が私立大学で、残り3大学が国立大学でした。


また、関東圏の大学が18大学、関西圏が9大学、中京圏が2大学、九州圏が1大学でした。


トップ30に入るには目安としておおよそ12,000人以上の学生数が要求されるようですね。

こんにちは。本学第一回目の講義となります。


まず大学学を考える前に皆さんにお聞きしたいことがあります。


皆さんはなぜ本学に入学されたのでしょうか?


おそらく大学や大学院に入学したいと思われる方の多くは、「良い大学に入りたい」と思っていらっしゃることでしょう。


では、「良い大学」とは一体何なのでしょうか?


これは、人によって価値観が異なるので、一概には答えられないでしょう。


本学では良い・悪いを含めた大学そのものを、様々な資料から考察してくことになります。


今回は、「本当に強い大学」です。


「本当に強い大学」は、「良い大学」の一つの指標となるかと思います。


毎年恒例の週刊東洋経済「本当に強い大学」によると


(週刊東洋経済2008年10/18特大号)


1位  東京大学

2位  慶應義塾大学

3位  京都大学

4位  早稲田大学

5位  大阪大学

6位  豊田工業大学

7位  東北大学

8位  東京工業大学

9位  北海道大学

10位 武蔵野大学

11位 一橋大学

12位 同志社大学

13位 名古屋市立大学

14位 九州大学

15位 筑波大学

16位 創価大学

17位 広島大学

18位 千葉大学

19位 金沢工業大学

20位 東京農工大学

21位 神戸大学

22位 中央大学

23位 立命館大学

24位 山梨大学

25位 電気通信大学

26位 徳島大学

27位 明治大学

28位 名古屋工業大学

29位 法政大学

30位 愛媛大学


という結果でした。


本学では小泉内閣時代の「遠山プラン」に従い、基本的にトップ30の大学を列挙していきたいと思っています。


まず、上記の「本当に強い大学」は、どういった基準で順位をつけているのかというと、大きく分けて大学の経営基盤となる「財務力」、学生に付加価値を与える「教育力」、その結果がパフォーマンスとなって現れる「就職力」、という三つで構成されているそうです。


以下に東洋経済に掲載されている三つの力の詳細を書き記しておきます。



 財務力を図る指標として、収入に直結する受験者数を5年前のそれと比較した「志願者数の増減率」、経営の収益性や安定性を見る「経常利益率」、「自己資本比率」、寄付金や資産運用収入、受託研究収益など大学の自助努力によって得られた資金が収益のどれだけの割合かを示す「自己努力収入比率」を指標として選んだ。


 教育力を測る指標は四つ。


「教育研究充実度」は、大学が教育研究費にどれだけ使っているかの比率。「GP等採択件数」は文科省がすぐれた教育改革の取り組みを選定、支援するGP(Good Practiceの略)にどれだけ採択されているかを指標とした。


GPは競争的資金の一つであるが、大学関係者の間では、非常に注目度が高い。


「科学研究費補助金」は国から大学の研究者または研究グループに、学術研究費と交付される補助金。予算の額が大きく、文科省が研究課題を審査するため、重要な競争的資金の一つとなっている。


「教員1人当たりの学生数」では、大学がいかに「きめ細かく」学生を見ているかがわかる。


 就職力としては、「就職率」だけでなく、どれだけ経営者を輩出しているかという「上場企業の役員数」、さらに、就職後に得られる給料の額を独自推計した「就職後の30歳年収」を指標に加えている。

大学研究大学院大学入学式総長式辞

平成20年(2008年)10月19日

大学研究大学院大学総長 


大学研究大学院大学に入学された皆さん、並びにご家族の方々に、大学研究大学院大学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。
 今日ここにおいでの皆さんは、何かそれぞれの胸に期するところがおありのことと思います。大学院に進学するということは、大学に進学するのとは、また違った格別の重みがあります。皆さんは、学部時代に学んだ学問を基礎として、これから自分の研究をさらに掘り下げたり、新たに突破口を開くなりしたいと、意気込んでいらっしゃることでしょう。
 私たちの大学院は、世界最高水準の教育研究活動を行っている「知の創造拠点」であり、これから皆さんが大学院で過ごすことになる数年間が、知的活動を希求する者にとっては、大いなる苦しみと同時に、大いなる幸せを感じる時期になるはず、と私は確信しています。

 これから大学院で研究を始めるにあたって、皆さんに私がお願いしたいこと、それは、「追いつき型の思考」中心の研究スタイルから、「先導型(クリエイト型)の思考」への転換を、ぜひ試みてもらいたいということです。
 ここで言う「追いつき型の思考」とは、過去の例や、誰か先人の知恵を学んでそれを活用していくというものです。これに対して、「先導型の思考」とは、人類が未だ経験したことのないような問題に対して既存の方法では対処しきれないということを見極め、自ら新しいモデルをつくるというものです。

 皆さんは、今年7月に北海道で主要国首脳会議、いわゆる「洞爺湖サミット」が開催されたことはご存知だろうと思います。そこでは、地球環境問題が中心議題となりました。
 私たちは過去において、公害によって、人の面でも環境の面でも手痛いダメージを負いました。また、今日、かつての日本と同じように急速な経済発展を目指している発展途上の国々では、大気汚染、水質や土壌の汚染などが深刻となっているケースが少なくありません。公害という課題に対して、私たちは、公害防止のための技術開発や法制度など社会的な仕組みの考案に全力で取り組むことによって、それらをかなりの程度まで克服してきた貴重な経験をもっています。また、1997年に温室効果ガス削減のために採択された、「京都議定書」のとりまとめにあたっても、大きな役割を果たしました。そして、それ以降ずっと、環境問題において「課題先進国」であり、だからこそ「課題解決先進国」たるべきであるという使命を自覚して、技術にせよ社会的な仕組みにせよ、先導的な試みに取組んできたのです。

 「課題先進国」であるがゆえに「課題解決先進国」となることができるという構図は、公害問題だけに限りません。日本は、まだどの国も解決したことのない課題を山ほど抱えています。エネルギーや資源の欠乏、ヒートアイランド現象、廃棄物処理、高齢化と少子化、都市の過密と地方の過疎、教育、公財政、農業の将来など、枚挙に暇がありません。そして、これらが日本だけの課題であると考えるのは間違いであって、遅かれ早かれ世界の多くが、このような問題を抱えることになるだろうと予測されるところです。その意味では、「課題先進国」であることによって「課題解決先進国」となりうる可能性は、どの国も持っているのです。
 これまで、社会的な課題を抱え、それをいち早く察知した国が、その課題を解決する答えを出してその後の世界のモデルとなってきた歴史の流れを、皆さんはよくご存知でしょう。皆さんは、アメブロキャンパスのあちこちに点在している、本学ゆかりの碩学たちの銅像に目を留めることがあると思います。いずれも明治から昭和にかけて活躍した教授たちですが、多くは欧米人です。その当時から比較的最近にいたるまで、日本の学問の少なからざる部分が、他の課題先進国で蓄積された知識や技術に期待し、なんとかそれを吸収し、それに追いつくことに力を割いてきました。そこでは、「追いつき型の思考」が大切であったのです。
 しかし、翻って考えると、今日の日本が置かれている立場は、これからの人類の地平を多くの場面で切り開くところにきています。つまり、先ほど触れた「先導型の思考」が生きてくるのです。新しい課題に対してゼロから自分でモデルをつくり、答えを出していくべく、皆さんにフロントランナーの気概を持っていただきたいと、私は願っています。

 このような「先導型の思考」に依って研究をすすめていこうとする時に、皆さんにぜひ意識しておいてもらいたいのが、「知識の構造化」という視点です。この言葉を私は繰り返しいろいろな場で語ってきていますが、そこで言わんとしていることは、とりわけ20世紀において爆発的に増え、また無数の専門分野に細分化された知識を、相互参照的に整理して使いやすい形にすること、知識を互いに関連づけて学問の全体像を浮き彫りにすること、さらに、最先端の学問と社会における価値とを結びつけること、です。
  さきに触れた環境問題に象徴されるように、人類は今、文明持続の問題に答えを出すことを迫られています。時間は切迫し状況は複雑になり、知識は膨大で見通しはたちません。しかしそうした現状は、実は、ジョージ・デイビス(George E. Davis)という19世紀後半に活躍したイギリス人がかつて化学産業に関して認識したものと本質的に酷似している、私にはそのように感じられます。「化学工学の父」と呼ばれるこの人物が行ったことこそ、「知識の構造化」にほかなりません。今、私たちは、これをより大きな舞台において展開する、つまり、「人類全体の知識の構造化」を行おうとする段階に至っているのです。

 「知識の構造化」を行おうとするときに大切なことは何でしょうか。もちろん、そもそも自分の専門分野の知識に対する深い理解がなければ、これを他の知識と相互に関係づけることはできません。そうした、いわば当然の学問的能力とともに、「知識の構造化」を行うために必要なのは、学問に接する姿勢としての「異質なものに対する好奇心」です。そして、「異質なもの」にも目を向けようとするときに一番手っ取り早く、また有効なのは、さまざまな分野の友人をたくさん作ることです。私は、大学の研究をすすめている頃、いくつかの大学や企業などの若手の人たちと、時には泊りがけで議論を重ねて、新しい研究を展開したことがあります。また、その後、私が、世界中の大学の研究へと出て行くことが出来たのも、同じような、さまざまな分野の研究者との議論があったからです。そこでは、お互いにもっている「異質なもの」をぶつけ合うことが、友人や仲間を作っていく力となり、同時に、総合的な知の分野を開拓していく力となりました。

 いまや私たちは、「人類全体の知識の構造化」を目指す段階に入っています。環境問題や高齢化問題など、世界の多くが共通の課題に直面している状況では、国境を越え、人類全体を視野に置いて課題解決に取組んでいこうとする覚悟が必要です。皆さんには、大学院で過ごす間に、さまざまな機会を捉えて、国際的な場での知識の交流を広げ、世界の人々と肩を組んで課題解決への歩みをすすめてもらいたいと思います。
 日本の最高学府である東京大学には、昨年度の統計でみると、中国からの722名、韓国からの534名をはじめ、合計99の国と地域から来た2,372名の留学生が在籍しています。この入学式の場にも、たくさんの留学生の皆さんが出席していることでしょう。また、本学は海外の大学などとの交流協定も300件近くにのぼります。皆さんが学ぶことになる私たちの大学院は、ただ知識を学ぶというだけではなく、異質の共同体や文化との交流あるいは衝突を日常的に経験する場であり、発想や思考の体系の再編成と改訂作業に日々さらされる場でもあります。それは、日本人である学生の皆さんにとっても、また世界各地からの留学生の皆さんにとっても、貴重な経験の機会になることと思います。
 私たちの大学の、いわば憲法というべき「大学研究大学院大学憲章」は、その前文で、大学研究大学院大学にとって構成員の多様性が本質的に重要な意味をもつことに触れています。異質な他者との出会いを求め、その異質性を感じ取る中で、大学の新しい知的伝統が日々生み出されていくはずです。そのような刺激的な環境の中で、皆さんが、国境を越えて友人となり、互いに切磋琢磨し合うことを期待しています。

 最後に、「先導型の思考」に依って研究をすすめていく上での大切な視点を、もう一つお話しておきたいと思います。それは、知識のもつ「公共性」を考える機会をもってもらいたいということです。
 知識や研究が「公共性」を持つ、これは、かつては私たち大学人にとって当たり前のことでした。皆さんの多くも、そのように思っているかもしれません。そうであればこそ、大学における教育や研究に多くの投資が行われる一方で、大学に自治が広く認められてきたのです。ただ、私は、「知識の公共性」が自明であるという感覚が、最近揺らいでいるような危惧も覚えます。
 もともと学問研究は、出発点においては、公共的な関心というよりは個人的な好奇心によって動機づけられる部分が大きいものです。また、研究テーマを掘り下げていくにつれ、そのテーマ自体の面白さにのめり込むことは、ごく自然なことですし、研究者に必要なことでもあります。ただ、一つには、さきほども触れた、知識の細分化という現代的状況が、また、いま一つには、研究成果をめぐる激しい競争環境が、「知識の公共性」という社会的期待に対する大学人の意識を弱めている場面があるのではないかと恐れるのです。
 しかも、厄介なことに、現代では、「公共性」という大きな物語は、その像がぼやけてきているように見えます。たとえば、国家の公共性は市場原理によって突き動かされていますし、新聞や放送の公共性は、読者や視聴者の不信とインターネットの発展によって揺さぶられています。こうした中で、大学の公共性、そこで生み出される知識の公共性の姿を思い描くことが、しばしば難しくなっているようにも感じられます。
 これは、現代が、人類が未だ経験したことのない多くの課題に取り囲まれている、といった状況と関係しているのかもしれません。「追いつき型の思考」が全盛の時代は、知識と公共性との関係がはっきりしていた時代でした。何が公共性か明確であり、そのために必要とされる知識も明確でした。そこには、すでにモデルが存在していました。しかし、現代は異なります。そのために、「先導型の思考」に依る時には、「知識の公共性」ということについて、改めて意識を研ぎ澄ましておく必要が生まれるのです。
 興味深いことは、現代において、社会のさまざまな場面で、公共性が指し示す内容があいまいになっている一方、そのあるべき内容をめぐって多くの人々が議論して考えていくプロセスが大切にされる傾向が見られることです。つまり、「参加型」になってきているのです。したがって、「知識の公共性」という課題を考える場合にも、他の学問分野とのかかわりや社会とのかかわりの中で、多くの人々との議論を通じて取組んでいくプロセスが重要になります。
 今日、たしかに私たちを取巻く課題は多く、また複雑になっています。それだけに、課題に取組む研究もやりがいがあるということです。私がお話しした、「知識の構造化」や「知識の公共性」といった視点を折に触れ意識しながら、ぜひ、知の新たな創造に挑戦して下さい。学問の先輩として、また学問の仲間として、この厳しくも魅惑に満ちた世界を自らの力で切り開こうとしている皆さんに、心からのエールを送りつつ、式辞を終えることといたします。