1.犬の歯とお口の健康

子犬の乳歯は生後3~5週で見え始めて、生後2ヶ月までに28本すべてが生え揃います。生後4~5ヶ月頃には永久歯に生え変わり始め、8~10ヶ月で42本が揃います。

犬は唾液が多いので、虫歯になりにくいと言われますが、歯石や歯垢がたまると、歯周病や虫歯の原因になります。

歯周病になると、口が臭くなるばかりではなく、心臓病などの重い病気の原因にもなりますので、口内の健康はとても大切です。


歯みがきの習慣がないということは、口の中を触られることに慣れていないということなので、歯石や歯垢をとる場合でも、全身ますいをかけなければなりません。犬はおとなしく、口をアーンと開けて治療を受けてはくれないからです。

2.歯磨きトレーニング

(1)子犬の時に、まず口のまわりを触られることに慣れさせましょう。
グルーミングや遊びで、繰り返して口のまわりを触ります。おとなしくしていれば、ほめてあげて、ごほうびを与えたりして、飼い主が口のまわりを触ると何かいいことがあるんだと思わせます。

(2)次のステップでは、口のまわりを触りながら、くちびるをめくって、そっと指を口の中に入れます。遊び感覚で歯や歯茎を触りながら、もう一方の手で体を愛撫します。

(3)最初からいきなり歯ブラシを使うのではなく、人差し指にガーゼを巻いて、それで犬の前歯をそっとなぜてやることから始めます。ガーゼをお湯で濡らしたり、好きな肉汁をつけてなめさせながら、そっと歯の表面を磨きます。
嫌がらせないように、短時間、歯にタッチできれば十分です。

(4)歯磨きトレーニングのスタートです。
小児用の小さな歯ブラシか、犬専用の歯ブラシにお湯や肉汁などをつけて、やさしく手早く、さっと磨いて下さい。
いきなり上下、前歯から奥歯まで全てを磨こうとせず、犬がリラックスして、飼い主がそうしてくれることを楽しむ範囲で、少しづつ進めていって下さい。

(5)一日ごとに、前歯からだんだん奥歯に向かって歯磨きを進めていきます。
もっとも歯垢がたまりやすい上の奥歯を磨けるようになるのが、最終目標です。
歯磨きが好きになって、歯垢がたまりやすい歯周ポケットにうまく歯ブラシの毛先が入るように、歯の表面に対して45度の角度で歯ブラシを動かせれば、完璧です。

(6)歯磨きをさせない犬には、デンタル用のガムやおもちゃなどを与えます。
デンタルガムの表面には、唾液のPhを歯垢のたまりにくいPhに変えるような無害の薬剤が塗ってあります。歯の健康管理のためのビタミン剤もあります。