室内で飼われているペットにアレルギー性皮膚炎が増えています。室内のホコリに含まれるダニの死骸やフンなどを吸い込んでしまうからです。

1.「ペットアレルギー」の誤解

かつては、ペットを飼っている人が何らかのアレルギー症状で病院にかかると、「ペットアレルギー」と診断されてしまうことがよくありました。


しかし、米国立アレルギー感染症研究所と国立環境衛生科学研究所は、「1歳までに2匹以上の犬か猫がいる家で育てられた子どもは、ペットのいない家で育てられた子どもよりもアレルギーになりにくい」と発表したのです。
また、米国立アレルギーメカニズム局は「幼い時期にペットと多くかかわりを持つことがペットに対するアレルギーを防御するだけではなく、ダニ、ブタクサなどによる他の一般的なアレルギーに対しても有効である」と報告しました。


ペットの毛やフケ、唾液に含まれる物質などがアレルギーの原因の「アレルゲン」になることはありますが、それらは室内のホコリに含まれるダニ、カビ、花粉、煤煙などのハウスダストの一部に過ぎません。
何でもかんでも「ペットアレルギー」の一言で片づけてしまうのではなく、こまめに掃除をして、室内のハウスダストを取り除くことを考えてみましょう。

2.ペットに増えている「アレルギー性皮膚炎」

室内のホコリは、床から30センチぐらいのところを浮遊しています。犬や猫がちょうど吸い込みやすい場所なのです。


そのホコリの中のハウスダストマイトと呼ばれるものが、アレルギーの原因物質=アレルゲンです。最も原因となりやすいのがダニの死骸やフンで陽性率50%、次いで植物が40%、ストレージマイト(フードに発生するダニ)20%ノミ14%となっています。

飼い主がいちばん気にする食物アレルギーは13%程度です。


アレルギーは、これらの原因が複合的に影響して、発症すると考えられています。

3.ハウスダスト・コントロールのポイント

(1)ダニの繁殖をストップ!!


①室内の結露、湿気を防ぐ

②ダニの餌になるホコリやチリを取り除く

③ダニが産卵場所にする暗い場所、ベッドの下や家具の裏側などに掃除機をかける

④カーペットを使わない(たたみの上にカーペットを敷くのはやめる)

⑤寝具を天日干ししたり、布団乾燥機にかける。(ダニは高温に弱い)

(2)ハウスダストを取り除く


①換気をする(窓を開ける、換気扇を使う)

②こまめに掃除機をかける(微細なダストを取り除き、排気がクリーンな掃除機を使う)

③空気清浄機を使う(ファン式を使う)

④エアコンを掃除する(エアコン内部のホコリやカビを室内に撒き散らさない)