ニュースで特集されていたのは、家族に知られることなく火葬されてしまうケース。
昔、大学にいた頃、うちの学科の学生が交通事故で亡くなった。3月末の卒業式の数日後だった。
学生証は返却していて4/1から入行する予定だった銀行の身分証も定期券もまだ無く、身元不明としてすぐ荼毘にふされた。でも彼女の家は渋谷だったかな、たしか青山通りのそばで、事故は港区赤坂、もう目と鼻の先。ご家族が捜索願を出していたのに会えた時にはお骨になっていた。
家を出たきり姿を消した娘を探したご家族にとってあまりにむごすぎた。
後日ご縁のあった教会でご葬儀があり、ゼミの先生や主任の先生たちと参列してきた。
もうどうしようもなく、つらいお式だった。
先生方は強張った顔で、君たちは身分証を必ず持ち歩けと強く言われた。ルーテルの讃美歌は耳慣れない感じで違和感が残って、つい先週卒業式と謝恩会で華やかに送り出したばかりなのに、と頭がついていかなかった。
今回のニュースは自治体の大変さが浮き彫りになっていた。確かにそうなんだろうと思う。
あの時は警察かな。もう38年くらい前のことだけれど、当事者意識が、ほんの少しの想像力があったら。
魔に魅入られたように逝っちゃった。
そしてほんとうにひどい仕打ちだった。痛かったねとさすることも抱きしめることも出来なかったのだから。
その慰めも癒しもなく、ものとして処理されたようでやりきれなかった。
今も彼女の名前を覚えている。
いつ何があるかわからないし、自己防衛できることはしないとねと話しつつ。
でも、あの家族の姿。2度殺されたようなものだと思う。
防げたはず、だから悔しい。