
わたしの散歩テクもいよいよ佳境に入ってきた。これより少しずつ先達から教練を受け身につけた秘技を披瀝したいとおもう。まずひとつ立ち止まってあたりを見渡しながら深呼吸をする。こうすることによって自分がいま居る場所を確認しまた十分安全かどうかも同時に視認する。なぜならときどき物陰にかくれてこちらをうかがっている人物がいないとも限らないからだ。つまり後をつけられてないかどうかよくみておく必要がある。ついこないだのことである。柴犬をつれてあとからついてきていた老人がわたしのわきを通り過ぎようとした。ふいにその犬はなにをおもったかわんわんと吠えかけたのである。たしかに自分は写真をとりながらのろのろ歩を進めて自我流の散歩に余念がなかった。いきなり吠えかけられのでわたしは一瞬とびのきざま身をすくめて防御の姿勢をとらざるを得なかった。おもわずあっとなり腰砕けになってもう少しで地面に坐り込むくらいであった。とにかく道をその老人と犬にゆずって先に行かせた。それにしても犬のご主人さまはなにごともなかったかのようにすっと先へ歩いていった。会釈ぐらいしろ!と心の中でどなってやるのが気の弱いわたしにはいっぱいいっぱいだった。犬のしつけぐらいしてから外にだせよ、びっくりするじゃないか。それでなくても心臓が弱い方なんだから、わたしは。こう思っているうち老人と犬は豆粒のようになって遠く方に見えていたが、サンクスとドラッグストアの三叉路を右にまがって消え去っていった。それにしてもあのワン公めいかにも忌々しい。おれさまに向ってほえやがった、あれを忠犬とでもいうのか?あれだったら月輪熊にもとびかかってくれそう。犬を飼うなら柴犬がいいのか、ゴールデンリトリバーがいいのか。まてよ、小型のブルドックもキモかわいいという。こんなことを考えているうちに大部来てしまった。今日はここまでにしておくか。











