南極と超深海の両極地で、実際に自分の手で水中ロボットを潜らせてきた研究者による「実話」をご紹介するブログ。
今回は、「深海でインターネット?」というお話です。
そもそも。
水中では電波が通じません。ジップロックに入れたFMラジオを水中に沈めると、水面から数センチで受信できなくなります。
なので、水中での通信にはイルカやクジラと同じく音波を使います。
TBSのドラマ「日本沈没」で潜水艇「わだつみ」と母船がリアルタイムで会話をしているシーンがありました。あれも音波を使っています。
↑ 旧作版の「わだつみ6500」
(旧作では首振りサーボと呼ばれる艇尾の大型スラスターが健在)
しかし、実際には自分が話してから応答が返ってくるまで数秒かかります。(水深によって音波の往復時間が変わります)
しかも、送受信できるのは音声や画質の荒い画像くらいで、高画質のリアルタイム映像や大容量の観測データの伝送には不向きです。
つまり、深海でネットゲームやネットショッピングをしようと思ってもできません。
そのため、もっと大容量の通信が出来ないか?と、古くから様々な方法が検討がされてきました。その1つが水中光無線通信です。
原理はいたって簡単。普段、我々の家庭でも使用している光ファイバー通信をファイバーを通さず受信しようというもの。
しかし、光は直進性が高いため、少しでも光の軸(通り道)がズレると通信できなくなります。
各研究機関がいろいろな手法を検討していますが、今回、我々はAIを使って相手の光を自動でトラッキングする手法を採用し、見事、水中での通信に成功しました。
↑ 水中光無線通信の実験の様子
政府が目指すBeyond 5Gの実現を目指し、海の産業革命に貢献できる研究を今後も行っていきます!