佐々木孝枝と神田勉が狂態を繰り広げているホテルの隣室。
藤原丈二と藤原朋子、義姉弟が居た。
例によって佐々木孝枝を尾行していた。
ホテルに入る2人を見て、丈二は朋子に、
「さて、これから1時間ばかりは何の動きもないだろうね。
今日のところはこのぐらいにしとく?
それとも、出てくるのを待って、神田に仕掛けてみるか…」
朋子はヒマに任せて丈二に付き合っているが、
待つことは苦手だった。
「ねぇ…、私たちも入らない?」
「そこまでする?」
「そうじゃなくて…
私…何だか欲情しちゃったみたい。貴方が欲しくなってきた」
「ああ、そういうことか。そんなの、俺はいっつもだよ。
状況が状況だけに、言い出せなかった」
「そうなの?私だけじゃなかったのね。
ふふふ…。嬉しいわ、貴方にそう言ってもらえると」
丈二は道路脇に停めていた車を発進させ、
ホテル駐車場のビニールの覆いを割って入っていった。
従業員と顔を合わせずにチェックインできるシステムは、
どこのホテルでも同じだ。
パネルから好みの部屋を選び、誘導灯に従って入室。
それが偶然にも、孝枝たちの隣室だった。
ホテル…しかもラブホテルという密室を提供しているのだから、
利用する側はプライバシーは完璧だとばかり思いがちがが、
実のところ、そうしっかりしたものでもない。
静かにして耳をすませば、隣室の声が聞こえることもある。
また、廊下には防犯上という理由でカメラもあり、
その画像は24時間は保存されている。
それを知っている丈二たちは、カメラがありそうな方向には
出来るだけ顔を向けないようにしている。
最初は気づかなかったが、ソファーに座った瞬間、
隣室から漏れ聞こえた女の声に聞き覚えがあった。
「丈二…、この声、孝枝さんじゃない?
隣り合わせになっちゃった?」
「え?そりゃまた…。でも、もういいだろ?
今は2人の時間を楽しもうじゃないか」
「そうね。ずいぶん久しぶりのような気がする」
そう言って、朋子は丈二の肩に頭をもたせかけた。
丈二は朋子の肩に手を回し抱きよせる。
トロンとした朋子の目を見つめ、唇を重ねた。
舌が絡み合う濃厚なキス。
身体をこれ以上ないぐらいに密着させ、
口と口で繋がった2人は、お互いに衣服を剥ぎ合った。
互いの身体に指と舌を這わせ、身体全体を愛撫する。
唇から顔全体、首筋から胸、腹、腰、太股から脛、脹脛、足指まで。
横向きに身体を向かい合わせ、頭部は上下反対の体勢。
最後には双方が相手の最も敏感な部分に顔を埋めた。
2人の欲望が重なり、沸点を迎えようとした時、
隣室からガラスの割れるような音とともに、女の怒声が響いた。
2人は一瞬、動きを止めた。
「どうしたんだろ?孝枝さんの部屋からよね…」
「ここで止める?コレどうするんだよ…」
自分の股間に怒張した一物を指差して丈二は笑った。
2人は壁際に寄り、耳を澄ませた。
どうやら孝枝と神田が揉めているようだ。
孝枝が一方的に怒り、神田は必死でなだめようとしているように聞こえる。
何を言っているのかまでははっきりしないが、
『認知』という言葉だけがわかった。
「もしかして、孝枝さん妊娠してるの?
認知って子どものことでしょ?」
「それはないと思うけどなぁ。
神田って男、それほど間抜けじゃないと思うんだけど…」
「間抜けだろうと抜かりなかろうと、妊娠はさせられるでしょ?
可能性としてはあるわよ」
「まあそれは、あとで孝枝さんに確かめてみることにしよう。
しかし、なんでココで揉めるかなぁ…。
一気に醒めちまったじゃないか」
力を無くしてうな垂れたようになっている丈二の股間に目をやり、
朋子は笑みを浮かべながら手を伸ばしてきた。
ゆっくりと揉み解すようにそれを刺激する。
唇をすぼめ、先端を吸う。舌を絡めて嘗め回す。
「ううっ、朋子さん、今日は大丈夫な日だった?」
丈二のモノから口を離した朋子は、にっこりと笑い、
「ええ、今日は生で大丈夫。思いっきり出してね」
そう言って後ろ向きになり、丈二の分身に手を添え、自らの泉に導いた。