ホテルの室内。薄明りの中、絡まりあった男女の姿。
部屋の中央に立ったまま、2人はお互いの衣服を剥ぎ合った。
ようやくありついた餌を貪るように求めあう2人。
丈二は泉美の積極さに驚き、また喜んでいた。
(ダンナの浮気相手と俺が関係あるって知ったらどう反応するだろう)
サディスティックな思いも過ぎった。
一糸纏わぬ姿になると、丈二は泉美を壁際に押しやり、
片足を持ち上げ、泉美のしっとりと濡れた部分に指を這わせた。
滴るのではないかと思えるほどに潤った泉美の中心部に、中指を埋める。
鍵状に曲げた指で内部をゆっくりかき回す。
掌にまた、温かいものが溢れてくる。
泉美の手は丈二の背中から頭部を撫で回すように動く。
再び立ち上がった丈二は左手で泉美の右足を抱えたまま、あてがい貫く。
「はぁぁ…うぅんっ」
ため息を漏らすような泉美の息遣い。
交わったまま泉美を抱え、ベッドの縁に両手をつかせると、後ろに回ってさらに奥深く突いた。
上半身を床と平行にして、もっと深く丈二を迎え入れようとする泉美。
自ら腰を前後に動かし始めた。
「ああ、いいっ…。いいの…すごく…」
話す時の声よりトーンの上がった声を放つ。
「もっと、もっとよ。強く、強く突いて」
髪を振り乱し、あられもない姿で求める。
ベッドに突っ伏し、腰をさらに高く掲げる。
「泉美さん、俺もいいよ。もう、逝きそうだ」
「私も…。ねぇ、逝って。中に、思いっきり出して」
後ろから泉美の両手に自分の手を添える丈二。2人同時に達した。
下半身を痙攣させながら、丈二の放出したものを奥深く受け止めようと、
泉美は腰をさらに丈二に密着させた。
一時、余韻に浸ったあと、泉美は丈二に囁いた。
「ねぇ、子供が出来たらどうする?」
「え?何故そんなことを?」
「これで妊娠してたらいいな、って思ってるの。そしたら、夫には『あの時できたのよ』って言うの」
「そんな…。血液型も確かめずにそんなこと」
「あら、大丈夫。あなたO型でしょ?」
「何故それを?」
「大丈夫。何かを調べたワケじゃないの。こういう私の予想は外れたことないの。夫もO型だから大丈夫よ」
何を企んでいるのか、丈二は泉美の顔をしげしげと眺めた。
「あなたには迷惑はかけないから心配しないで。これっきりにもしないし」
「はぁ。俺は別に構わないんだけど、そんなことして何になるんです?」
「これは私のちょっとした復讐。誰も知らないところで密かに少しずつ進行する復讐なの」
女の考えることはわからないし恐ろしい、そんな思いの丈二だった。
泉美が本当に妊娠するかどうか、それは数十日経たなければわからない。
自分の分身が出来るかもしれないという実感も丈二にはなかった。
「泉美さん、俺、貴女の旦那さんの浮気相手を1人知ってるんですよ」
「あらそうなの。どんな人?」それ程驚いた様子もなく、逆に質問された。
「こないだ、偶然駅前で見かけた2人連れの男性の方とバスに乗り合わせて…」
「それがウチの夫だったの?」
「ええ。降りたバス停も一緒で、その人が入っていった家に貴女がいた」
一瞬、泉美の顔が曇った。