UNDERGROUND High SCHOOL
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Chapter 1  マーティー・マック

 ここは危険区域アンダーグラウンド ハイスクール。
コンピューター社会に反対した者達が集う街である。
17歳の若者達が多いが、中には20歳を超える者もいる。
そしてこんな街にも政府に対立する救世主がいるのである。
その者の名はマーティー・マック。年齢は27歳。
アンダーグラウンド ハイスクール内では一番年上で頼りがいのある存在だ。

そして街の様子だが、100年前(2012年)に地球が壊滅の危機だった頃に
海に水没した、建造物や廃棄物などを陸に引き上げ、それを集めて造られ、見た目は
とてもコンピューター社会とはかけ離れたものとなっている。
しかしそんな中で若者達は自らの手でこの街を造り上げてきたのだ。
危険区域と言われ、コンピューター社会の人間は近づこうともしないが、
アンダーグラウンド ハイスクールに住む者にとっては居心地が良く、
何にも支配されず暮らしているようだ。

しかしこの区域には1つだけ問題があった。
危険区域とされている為か、輸入などの交渉がなかなかうまくいかず、
生きるためには最低限必要な食事もろくにとれない為、この問題に政府へ立ち向かったのが
マーティー・マックなのだ。

現在、輸入の問題に関してはマーティーの活躍により解決の方向へ向かっている。
そして街では・・・

「おい!待てよ!まだ食い終わってねーし!」

「それどころじゃねんだよ!お前テレビ見たか!?このままだとやばいぞ!」

「は?何かあったか?てかオレだってそれどころじゃねーよ!やっと二週間も我慢してたミックスバーガー久しぶりに食ってんだぞ!最後まで食わせやがれ!」

「てめーの食いしん坊に付き合ってる場合じゃねんだよ!ほらあれ見ろ!」

そう言うと少年は特大スクリーンに指差した。

「はぁ・・・?・・・なんでだよ・・・・」

もう一人の少年は食べかけのミックスバーガーを落とし、呆然とした。
そのスクリーンに映っていたのは、アンダーグラウンド ハイスクールの救世主、
マーティー・マック議員、死亡のニュースだったのだ・・。

そして街中が騒然とした。スクリーンには昨日のマーティーと政府との会議の模様が映されていた。
その内容は・・・

「マーティーくん、この輸入の件は君の言うとおりにしよう、そして君が彼ら(アンドーグラウンド ハイスクールの住人)を人間と認めていることはわかった。 しかし我々政府はまだ彼らを人間と認めたわけではないぞ? 輸入の条件と引き換えに君には我々の都市に帰ってきてもらおうと思うのだがどうかね? 君みたいにIDを持つものがなぜアンダーグラウンド ハイスクールに住む必要があるのかね? 我々の都市イルミガーデンは高度な技術の発展によって、人々が暮らしやすく、楽して生きていられる。仕事のほとんどはドロイドがこなしているし、何不自由ない世界を築いているのだ。君みたいな者が反逆者の集まる街に居る必要などないのだよ?」

つづいてマーティーも発言した。

「政府の皆さん、まず誤解されてる点が多数あるので述べさせて頂きますが、彼らは人間です。 あなた達より何倍も立派な人間です。 廃棄物置き場に強制連行したのはあなた達政府ではないですか!そして世の中に危険区域と認識させたのもあなた達です。 なら逆に聞きますが、IDを使って自らをデータ化して、生身の付き合いを忘れ、ドロイドが仕事をしてくれるから生活は楽、何もしなくても生きていられるって・・それこそ人間とかけ離れて行ってるのではないでしょうか? 人間として生まれてきたのに生き方が人間らしくないと思います。 私は人の温もりを感じれない今の社会に反対し、アンダーグラウンド ハイスクールで暮らしているのです。 政府は人間というものをまるでわかっちゃいない・・・」

そして政府は・・

「そうかね・・・残念だ。 君には失望した。 まぁ、好きにしたまえ。 わかっていないのは君の方だ。 まぁ、これ以上長く話しても君の決心は変わらんだろうがな。」

そして会議の映像は終了。そして映像が切り替わった。

「本日午前2時頃、マーティー・マック議員が死亡。原因は不明です。」

衝撃のニュースだった。
スクリーンの前にいた若者二人は涙をこらえ、こう話した。

「マーティー・・・オレ達にいつも優しくしてくれたのに・・・」

「だよな・・・一体何があったんだよ・・・」

少年はスケボーに乗って進みだした。 それをもう一人の少年が追いかける。

「おい!どこ行くんだよ!」

「原因が不明なんだぞ?つきとめるしかねーだろ!」

「イルミガーデンで死亡したんならオレ達が原因つきとめたくてもここから出られなきゃ意味ねんだよ!」

少年は止まった・・・

「くそぉ・・・・」

こらえていた涙が一気に流れた。

「今まで助けてくれたのに・・・オレ達は何もできねぇのかよ・・・そんなの悲しすぎるよ・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・

「ほ~なるほどね、原因ね~。」

近くから話しかけるような声がした。

「・・・・・誰だ!?」

「オレだ♪なんちって」

そこに現れたのは17歳の青年、イブキだった。

「お前何者だ!」

「おに~さんに向かって何者だ!はね~だろがよ。 オレはイブキ、お前等の話聞かせてもらったぜ、あとスクリーンも見た。 オレも原因不明ってのが気になる。」

すると泣いていた少年は

「そうだよな!だからオレ原因をつきとめたくて!」

「ガキはすっこんでろ!つきとめるにしてもお前等には危険すぎんだよ。 だからオレがどうにかしてつきとめる。 お前等は原因が解明するまで待ってろ。」

「っへ!お前みたいな不良にまかせられるか!」

「不良で悪かったな。 こーゆーファッションが好きなだけで別に不良じゃねーし!・・・てかマジお前等には危険すぎるから待ってろ!」

「・・・ほんとに・・・原因解明できんのか?」

「あぁ余裕でな。 マーティーのアニキには世話になってるし、原因解明はこの街のみんなの願いだと思うしな。 それにお前等みたいな小僧に、これ以上心の傷をおわせたくないからよ。 マーティーならそう言うだろな。」

「でも、にーちゃん一人でどうやって解明すんのさ?」

「バカか。 一人でやるわけねーだろ! ちゃんと頭いいやつがいるんだよ~だ♪ただ・・・くっそめんどくさがりだけどな・・・笑」

「えぇぇ・・・」

「大丈夫!オレにまかせろ小僧達♪」

「てかさ、なんでこんな悲しいニュース流れてるのに、笑っていられんの?」

「あのな、マーティーはこの街のみんなの笑顔が大好きだって言ってた。 オレだってホントはすっげー悲しいしぜ? でもマーティーの為にも、何があってもオレは悲しみを見せちゃいけないって思うんだ。 それをマーティーから学んだ。 存在がデカすぎんだよ。 アニキはよ。」

「てかなんでマーティーの事をアニキって呼んでるの?」

「アンダーグラウンド ハイスクールに連行された時、はじめて声をかけてくれた人だったんだ。 ここは君たちの手で築いていく自由の街、決して危険区域ではないよって言ってくれて、そのおかげで今の自分がいるし、それにオレのスケボーの師匠だったしな。」

「マーティーってスケボーできるの!?」

少年達の顔が少し笑顔になった。

「おうよ!めっちゃくちゃうまかったぞ!プロレベルだぜ♪」

「いいな~一回でいいから一緒に滑りたかった・・」

「原因解明が終わったらオレが教えてやるよ♪滑りは師匠ゆずりだからよ。」

少年達の顔から笑顔がもどった。

「ホントに!?絶対だよ!?」

「それならオレ達待つ!あ!おにーちゃん!アニキって呼んでもいい?」

イブキが微笑んだ。

「いいぜ。 てかお前等の笑顔最高だな♪この街の人間はこうでなくちゃな!何があっても強く生きる!まぁでも、泣きたくなったら、どっかに隠れておもいっきり泣け。」

少年達はスケボーで顔を隠した。

「く・・・・っ」

「それで隠れたつもりかよ。 バーカ。」

イブキの左目から一粒の涙が頬をつたった。 そしてイブキは少年二人を抱き、こう言った。

「マーティーはずっとオレ達の心の中で生きてっから。 この街はオレが守るから、待ってろ。 な?」

「アニキ・・ほんとは何者・・?」

「マーティー死亡事件の真相を知る者・・つまり、マーティーに後を託されたヒーロー(救世主)だ。」

少年達は驚きを隠せなかった。

「ええええええええええええええええええええええええええ!!!!?????」



つづく