ある大地に1つの雫が落ちた


雫が持つ力は強く


瞬く間に大地は創り変えられた


しかし、その大地に雫が落ちる前に王がいた


その王は1匹の蛇であった


蛇は黙示録ではなく聖書でもなく


荒れた大地を豊かに一縷に望んだ蛇だったのだ


蛇が住む世界は荒れなければいけない世界


常に赤い大地が広がらなければいけない世界


その蛇は祈った


自分は何故此処に存在するのかと


自分は何者なのかと


赤い寂しい大地を豊かにと


蛇が頭を紅い宙に向けた時


1つの雫が落ちてきた


どこからか落ちてきた


蛇にはその雫が、この大地を変えるものだと理解した


雫が大地に落ちたと同時に緑ある大地に変わっていった


蛇は喜んだ


自分という存在に気が付いた時には、荒れた赤い大地しかなかったのだから


蛇はその歓喜に酔いしれた


時は流れた


蛇は豊かな大地の王である


しかし蛇の幸せは続く事はなかった


王の住む大地に異なる存在を感じのだ


蛇は動いた


自分の幸せを奪うものなのかと確かめに動いた


蛇の王が住む大地に迷い込んだのは人の王であった


人の王は迷い込んだのは偶然である


蛇は自分と異なるものを見つけた


人の王は振り向いた


振り向いた先にいるのは巨大な蛇であった


蛇と人の王はこの時、会合を果たした


蛇は人を見る


人は蛇を見る


お互いに存在を確かめた時、人の王が言った


「お前は王か」


蛇は答えた


「私は王ではない」


人は答えた


「王でなければ、お前は何者だ」


蛇は答えた


「私はこの大地と時を過ごした」


人は考え、更に蛇に問いした


「お前は、王なのか」


蛇は答えた


「王ではない、大地そのものだ」


人はその答えに考えた


人としての考え


王としての考え


今目の前の蛇は王ではなく大地と言った


ならば大地というならば立っている場所はと


その時、蛇は言った


「お前の立っている場所は、私の上ではない」


人は驚いた


蛇の背に乗っていないということに


蛇の言葉は続く


「立っているのは、咲き誇っていた花達の上だ」


人は動いた


確かに花達が在った


人は花を治す為に動いた


蛇は言う


「治すのであれば、そのままにしろ」


人は驚く


蛇は語る


「ここは1つの雫より生まれし大地」


「ここは進む場所」


「そして、詠う場所」


人の王はその言葉を信じた


蛇と人の王は瞳を合わせた


蛇は「詠いに来い」と


人の王は「次は水を」と


互いに交わし言葉より


蛇と人の王


歯車が動き出した瞬間


交わりし歯車に狂いはなく


静に動き始めた