一つの生より始まり


崖に付きし掌に


掛けし五指あらず


生の終わり


路の終わり


命の終わり


心の終わり


叫ばずとも現世に出る


交わりし慟哭


混ざりし憎悪


生み出し悲哀


派生せし歓喜


一つ欠け


二つ欠け


三つ欠け


空の気貫けし喉の道


空の気貫けし肺の道


道に辿る焔へ


焔に辿りし音の道


音の道より焔に空の気焼かれ


求めし声にならず


非ありにしも


業ありにしも


違ありにしも


詠うことなく命消え行く


先立つ者に炎持ち


後立つ者へ向ける


先立つ者


力あり


剣あり


権あり


裁あり


後立つ者


力なし


剣なし


権なし


裁なし


非行いしも非にあらず


非行いしも非にあり


力あり先立つ者


力に酔い壊を生む


言の葉に熨せし破の力


言の葉に熨せし壊の力


守り術啼く


己の心守り


静に崖へと


哀しきを


悲しきを


嬉しきを


楽しきを


怒りきを


憎しきを


悪しきを


先立つ者


後立つ者


どちらにも非あり


どちらにも非なし


変わらずの誤ち


望めぬ路にあらず


一つの生に終止符を


己が失くし


心が失くし


人形よ


人の皮被りし


人形へ


人の終わりを


価値の終わりを


形の終わりを


型の終わりを


我失くし心に終わりを


終焉に終


幕に終


終の言の葉


終にさよなら