今回は『Stirring Your Mind』という
埼玉大学インディーミュージック研究会のイベント出演となりました。
会場は前回のベースレスライブ同様、大宮ヒソミネです。
Glaschelim以外、初めて共演する方が殆どでしたが、
個性的な方々ばかりで、とても内容の濃いものとなりました。
dormerは4人でのライブは久々だったこともあり、
音のバランスにはリハの時から、ある程度イメージをしていきました。
この箱はある意味特殊なので、会場内の出音にはいつも以上に気を使います。
そのなかでも、ボーカルとコーラスの抜ける音域は限界値が狭いので
ライブでは、そこをどう工夫するかがが大きなポイントとなってきます。

この日のセットリストはこちらです。
1,Throth(トート)
2,esker(エスカー)新曲
3,Decoy(デコイ)
4,Galatia(ガラティア)
5,Vostok(ヴォストーク)
注目するところは久々に演奏するThroth、Vostokの他
やはり、今回初お披露目となる新曲esker(エスカー)でしょう。
動画がアップされたので良かったらご覧下さい。
dormer / esker(エスカー)
dormerのなかではとてもストレートな曲だと思います。
ボーカルの坂東氏が名付けた
タイトルのesker(エスカー)とは、氷河の底を流れる水が堆積物を運び
堤防状に形成され、氷が溶けると現れる地形の事です。
語源はアイルランド語からきています。
この曲は悲しげな部分と雄大な部分を繰り返しますが、
それは自然に対して、道徳、秩序、愛などは無意味で無力であることは
善でも悪でもなく、歓喜することでも落胆することでもない。
でも何か感情を抱かずにいられない。
そんな第三の感情を掴みかけては消えてしまう。
という気持ちを表現してみました。
坂東氏曰く、
デモバージョンは大槻が再加入以前に作られた曲で、
今のdormerにより解釈を以て新たな形を得た経緯を
重ねた意味合いもあるようです。
サウンド面では、
ヴァース(Aメロ)→コーラス(Bメロ)→ヴァース(Aメロ)→コーラス(Bメロ)
と、至ってシンプルな構造です。
制作段階から
『晴れた南極大陸の上空を天高く舞い上がり、
広大な氷の世界を見渡しているようだ。』
という坂東氏のなかで曲の大まかなイメージがありました。

イントロからAメロでは、
ベース大槻の氷面すれすれを這うようなベースのラインに対し、
藤田のドラムは一歩一歩、氷の大地を慎重に歩んで行くような
リズムを刻みます。
長岡のギターは地上より少し高い位置をフワフワと冷気を感じさせる
音色を静かに繰り返し、そこに悲壮感漂う坂東氏のボーカルと藤田のコーラスが
重なり静寂の世界を創りあげます。
そして、Bメロは、その静寂を打ち破るような、坂東が奏でるギターの音と共に
各楽器隊が光と共に天高く舞い上がるように、一気に解放されます。
坂東氏が思い描く曲の風景により、皆がイメージを膨らませていき
自然と、楽曲のなかに静寂と歓喜を繰り返すような世界観が表現出来たと思います。

dormerの楽曲制作は音楽的な事よりも、まずは曲の持つ
イメージだったり、景色だったり、感覚的な部分を共有する事から始まります。
メンバーがそれぞれ専門的な知識で固めるよりも、
まずは曲の持つイメージを皆で最大限膨らませる事が
僕らにとってはとても大切な事なのです。

次回、動画と共に、ライブレポートの続きをアップする予定ですので
宜しくお願いします。
Photograph by Taiki Ogawa