久しぶりに書きます。

[今回は、May'nのアルバム「YELL!」よりMay'n氏の太も(ゲフンゲフン…   5曲目の「サマースライダー」を解説していこうと思います。作曲者は、田中秀和さんで作詞は只野菜摘さんという名コンビ。解説する中で、様々な専門用語が出てくると思いますが、1から解説するとその分文字数が多くなってしまうのでどちらかと言うと音楽理論をそこそこやってきた人向けです。

《偉そうに語っていますが、自分も独学で学んでいるゆえ、未熟及び間違ってる所があると思います。ですから、なにか気づいた点があれば教えてください。》

[ディグリーネームで書いてあるので、鍵盤を用意しながら辿っていくとより理解が深まりますので是非。

                                                                                                                                                                                       

【0:00 ~0:11  イントロ】

・コード進行

※4小節ごとに[コード]

※[  ]の間に挟む | は、各小節の分割。

 

 Intro.          

 

[| IVM7 | IVmM7(9) | Iomit5-♭VII6 | VI7(♭9)-VI△/♭III]

 

[| IIm7-IIIm7omit5(第3転回形) | IVM7-IIIaug/♭VII | V     |          ]

 

イントロのコード進行を上のように記してみた。IVからの、マイナーチェンジは、ある種普遍的かつ基本的な進行だ。

ここで注目したいのは、4小節にさしあった時のVI7の♭9によるテンションコード。80年代のシティポップ、昭和や平成初期のアニソンを彷彿とさせる、含みを持ったコードである。そして、そのコードの後に最上音を半音下げる(bVIIから、VI)ことで、通常のIIIm-VIm(この場合はメジャー)よりも、キャッチーな響きを得られると思う。そして、その後のVI△/♭IIIという裏コード(トライトーン)の関係を用いるのはいかにも田中秀和氏らしい。

 

 

そして、5小節目からは、IIから、Vへ解決するまで(所謂II-V進行が元)の様々な動きが見られる。IIm7から、あえて第3転回形のIIIm7を使うことで最低音がIIのままの響きが得られる。そういった意味では、IIIm/IIという解釈も出来る。(あまり主流では無いが)

そして、その後にIVM7-IIIaug/♭VIIの秀和氏の常套句が使われる。     本来IV-♯IVdimと行きたい所だが、♯IVdimの代理コードとしてIIIaug/♭VIIを使うことでイントロのインパクトを残せる進行にしたのだろう。

 

・メロディ

次に、メロディの部分だ、主の都合により全てト長調(本来は、ホ長調)として書かせてもらう。(実際の調で書くのめんどくさいんじゃ)

 

まず、感じたのはメロディの1番最初からオクターブの音程が使われておりそれにより絶妙なインパクトを残せる。

 

陽  射          し に 

レ  レ(8va)ド  シ

 

という感じになっている。(このメロディは、サビの頭と同じメロディ)

そしてなんと言ってもその次、May'nの歌声に合ったメロディが展開される。

 

跳ーねなーがーらー

シ    ドド    ソ    ソ(8va)

 

ここでもまたオクターブの音程が成されている。「ら」の音で透き通った裏声が耳に残りやすくなる。また、コードがマイナーチェンジ(IV-IVm)した瞬間に、最高音のソになるのでしっくりくる。

 

と       お  りすぎ     る な   つ

レ♯   レ ド レド♯ レ ラ   ソ♯

 

ここでは、レ♯色々な捉え方があると思うが所謂MMP5B(ミクソリディアン♭6thスケール)を使っていると言える。別の解釈でいえば、IVmの構成音であるから、メロディとして使ったという筋も考えられる。更にマイナーな線で言うと、和声的長音階(ハーモニックメジャースケール)たるものもあるが、あまりこの呼び名で言われることは無い。

 

 

「すぎる」のレ  ド♯  レ  では、

非和声音の旋律の中にある刺繍音を用いて構成されてある。

 

そして、「なつ」 のラ  ソ♯

は、コードの構成音に順していると思われる。特に、後半の

ラ♯(♯II)と、VI7の相性は抜群に良い。

 

その後のメロディは、上昇していく音階で解説は省かせていただく。

 

【0:11‐0:22    間奏】  

・コード進行

※前述の通りに従う。

[| IIIm7 | IVM7(9) | ♯IVmaug | V7-IV6]

 

[| IIIm7 | VI | IIm7 | ♭VIIm omit5]

 

まず、「グッバイサマースライダー♪」のボーカルのあとに続いて流れる水のサンプル、ドラムのインパクトやリバースシンバル、そして煌びやかなブラス隊、ベース、ギター、コード感を支えながら雰囲気を出すピアノ等によって夏の爽快感と陽射しが刺してくるような描写が想像出来る。

 

ブラスの旋律を中心に、リズム隊が見事に支えられており気持ちよく聞こえる部分になっている。

3小節目の♯IVmaugとあるが、実はdimと迷っていたのだ。しかし、構成音的には、(♯IV,VI,II)だと感じたのでそう書かせていただいた。

 

7小節目からの進行もII-Vを意識していると思うが、代理として♭VIIを用いており意外性がある。(しかし、♭VIIは一段と珍しい訳ではない)

もう一つ、♭VIIの時にベースの音が一気に下がる。ベースを担当している千ヶ崎学氏(秀和氏の楽曲の数々に携わっている。)は、五弦ベースを使うこともあるのでlowのD音(♭VII)でAメロへの架け橋繋いだのだろう。※因みに、四弦ベースではドロップDチューニングで対応出来る。

 

【0:22‐0:49   Aメロ】

※何故かここから「ですます体」に変わるが気にしないで欲しい。

 

[| IIIm6 | IV | ♯IVmaug | Vsus4-V]

 

[| IIIm6 | IV | IIm7 | IIIaug/♭VII]

 

[| IIIm6| IV | ♭VIdim7 | VI]

 

[| ♯IVdim7|    | IVM7(9) | ♭IIdim-♭IIdim/♭VII]

 

[| IM7 |  |  | IM7-IIIaug/♯IV]

 

という感じ。基本的に、間奏のコード感を残しつつの展開となっております。

(8小節からの、IIm7からのIIIaug/♭VIIは、今回の楽曲で度々使われますのでこれからの解説では省きます。)

Aメロでの、特徴は一度の使い方でしょう。

IIIm6-IVの進行で変わらない音がIという事は弾いてみたら分かるでしょう。これによってスムーズな流れを生み出せます。Rの方で、エレキギターのアルペジオがその流れを表現してます。

そして、そんな従順たる進行に訪れる11小節部分の♭VIのdim7です。普通ここのタイミングで入れるのかと最初聞いた時は少々困惑気味になっていました。(今考えれば、V-♭VIdimがあるくらいだからそのような線もあるなと思ってみた)

♭VIdim自体はそこまで珍しい訳ではなく、よくVの代理コードとして使われます。

 

例えば米津玄師氏の「海の幽霊」一般的な、456進行を派生させ、IV-♭VIdim-VIと言う様な感じに仕上げられております。

他でいえば、OSTER PROJECTのラブラドライト。「紡いだ不揃いな歌は」という歌詞が出てくる場面で、IIm7-♭VIdim7という流れになっています。

短6度のdimは、何だか哀愁漂う感じがして一気にグッときます。

というわけで、そんなコードで聞き手の感情を揺さぶる構成となっております。

そして、その後も♯IVのdimが使われていたりとかとても楽しい進行になっています。

 

12小節目では、♭IIで、IIの代理コードとしての役割を果たしています。

 

13小節から15小節の途中までは、IM7で潔く決めています。

 

そして、15小節目がまた1つの特徴なのです。

IIIaug/♯IVというコードですが分子(上)の、コードIIIaugは普通は、Iaugで使われます。Iの裏は、♯IVなのですから。しかし、IIIaugでも使えます。何故ならば、IIIaugは、要するにIaugの転回形だからです。

 

Iaug     [ソ         レ♯]

 

IIIaug   [シ    レ♯  ソ   ]

 

つまり構成音は、同じ塊なのです。

 

みなさんは灼熱スイッチを覚えているでしょうか。あのサビのGaug/F(Iaug/♭VII)もそういう事なのです。

IIIの裏コードは、♭VII。それを構成音が同じIaugの裏にすり替えたという事になります

ですから、Baugの第二転回形/Fという表記にも出来ます。

 

それの逆のことをサマスラで用いてます。

Aの流れはそんな感じです。

 

【00:49‐1:12   Bメロ】

・コード進行

 

[| IVM7 | IVm7(9) | IIIm7 | ♭IIIM7 ]

 

[| IIm7  | ♭VIaug M7/♭VII | IIIm7 | VI ]

 

[| ♯IVdim7 | IVadd9-IV | IIIm7 | VI7(♭9)-VI ]

 

[| IIm7-IIIm7 | IVM7-♭VII | V |    ]

 

[| (♭VII-♭VI-V-IV-♭III-II) | IIaug(add♭9) ]

 

まず、Aメロとは打って変わってリズムが変わります。モータウンビート寄りのリズムです。

 

タンッタンッタンッ    タンッタンッタタンッ

 

ていうやつですね。灼熱スイッチでもBメロは、モータウンビート寄りでした。非常にノリやすいリズムなので汎用性高いですね。

 

そして、コード進行ですが初めに4小節目ですね。6度の代用としてよく使われる♭IIIです。

これは、本当にエモーショナルですよね笑。

IIIから、VIに行くかと思わせつつそのまま半音下がる。隠し味に持ってこいですね。

 

[余談ですが、

個人的には、アニメ「世話焼きキツネの仙狐さん」のopの「今宵mofumofu!!」は、♭IIIの使い方が滅茶苦茶上手いなと感じました。](まじで)

 

次に6小節目、

ここもIIIaug/♭VIIと迷ったのですが、ピアノバッキングで最高音Vの音が聞こえたのであまり使われないaugM7の♭VIを採用しました。はっきり言って個人差あると思います。仕方がありません。しかし、ここでBlackadder系統のコードを入れてくるあたり素晴らしいですよね。

 

怒涛の9小節目~11小節目

まずは、♯IVで、1小節毎に半音下がる演出を醸し出しています。

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{♯IVのコードを使った曲}としては、

「オーイシマサヨシ」の「オトモダチフィルム」があります。

Bメロの最初に、かまします。

 

「人類みなセンパイ!」

これも同様にBメロで、半音ずつ下がるコード進行になっております。

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そして20小節目では、

Iの調から、短三度一時的に転調していますね。

♭IIIをドとすると、ソ、ファ、ミ、レ、ド、シというふうに順番に下がっていってます。

そして、そのあと半音下がり♭IIのaugになってます。add♭9と書いてありますがブラスの最高音のことです。augでも構いません。

 

・メロディ

 

Bメロで特徴的なメロディと言えば

「(友達に)なれる確率♪」

「落ちたストラップ♪」

という歌詞が出てくる所のメロディです。ト長調の表記で行きます。

 

な れ る か     く り   つ

シ ド レ レ♯ レ ド   レ♯

 

というメロディです。キャッチーかつ独特な響きがいいっすね。コードもそれなりに特珠という事もありますが…

 

このメロディもイントロ同様MMP5Bスケールが使われています元々メロディックマイナースケールの一種なので少し暗い響きになりますよね。この後「なれる確率  簡単じゃないね」といったような若干ネガティブな歌詞になっているのでその不安な感じや心配事をこのスケール及びメロディで表現したのでは無いのでしょうか?

 

【1:12‐1:55   サビ  】

 

・コード進行

※サビからは、8小節ごとに区切っていきます。

 

[| I△ |       | VIIdim7 | III7 | IVM7 |        | IIIm7 | (VI7(♭9)-VI) ]

 

[ | IIm7 |  IIIaug/♭VII | IIIm7 | (VI7(9)-VI/♭III) |

 IIm-IIIm7 | IVM7-♯IVdim | V7 | V7-V/♭II | ]

 

[| I△ |       | VIIdim7 | III7 | IVM7 |        | IIIm7 |

 VI ]

 

[| IIm7 | IVm | I-♭VII | VI-VI/♭III | IIm-IIIm | 

   IVM7-♭VII7 | V  |     ]

 

サビのコード進行はこの様な進行になっています。最初の4小節分は、アニソンやポピュラーミュージックでよく見かけるカノンの派生すね。その後は、VImに行くのをよく見かけますが、IVに行く進行も見かけます。

 

そして、2536を元にした8小節から11までの進行。

12小節からはもはや王道の進行ですね。

 

 

15小節目のV7-V/♭II は、ドミナントモーションによる下方変位を用いて次のI△(トニック)にナチュラルな繋ぎを演出しています。

 

あとは、イントロと被るところが有るので割愛させて頂きます。

 

・メロディ

 

上の進行表と一緒に見て頂けるとありがたいです。メロディに対して言えるのは、6~7及び22~23小節でのメロディです。

(1:20‐1:21,1:42‐1:43)

 

            じ    か     ん にー

            ド♯ド♯ レ レ

このメロディの響きは特徴的です。

このメロディは、リディアン・スケール(1,2,3,#4,5,6,7)によって出来ています。(まあ、捉え方は他にもあると思いますが……)

この響きが何処か、夏の終わりを薄らと感じさせます。(サンセット的な?知らんけどw)

 

しかしながら、メロディというのは案外思いつきフィーリングで作られるケースも十分あります。(秀和氏は結構考えてると思われるが)

作曲する上で、自分が気持ちいいと思った音をメロディにするケースは全然珍しくないと思うので。まあ、そこら辺の線引きは人それぞれあると思います。

 

 

 

 

・まとめ

 

今回は、サマースライダーを前半の部分(サビA)まで紹介及び解説をしてみました。今後、後半部分も書くと思います。(長6度転調とかあったし…)

 

 

感覚的に聞くのも楽しいですが、その音楽を分析していく(アナライズ)のもまた楽しいです。

長くなりましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました^^*。何か疑問点や、間違ってる点がございましたら是非教えてください。では。https://twitter.com/Submarinetomato ←海中壮太のtwitter