瀬島龍三/ 著
大東亜戦争の実相
内容
日本はなぜ大東亜戦争を戦うことになったのか。
国家存亡の危機にあって、
日本人が守り抜こうとしたものは何であったのか。
本書で著者は、明治維新から日清・日露戦争を経て、
大東亜戦争にいたる歴史を凝視しつつ、
大東亜戦争は「自存自衛の受動戦争」であったという立場から、
苦悩する近代日本の姿を鮮やかに叙述する。
二十一世紀に継承すべき「志」と「精神」を問いかける、
国民必読の一冊。
-「BOOK」データベースより
商品説明
本書は、1972年、米国・ハーバード大学で国際関係学者約50人を前に行われた講演を、20世紀末になってからまとめたものである。戦時中、陸軍最高統帥部の作戦部に勤務し、全軍作戦の企画立案指導に携わった瀬島氏の貴重な証言である。
著者はまず戦争の呼び名を太平洋戦争でなく、あえて「大東亜戦争」とする理由を語っている。それは、大東亜新秩序を建設するための戦争であるから大東亜戦争と呼んだのではなく、単に大東亜の地域において行われる戦争という意味合いに過ぎず、戦時中の法令や条規の随所に使用されていた歴史的事実によるものだという。このあたりは、大東亜戦争の名で戦争作戦に深くかかわった著者のこだわりが感じ取れる。
まず興味を引くのは、当時の大本営の姿が、その内部にいた者の証言として生々しく語られていることである。対等の立場という位置づけでありながら大本営に引きずられざるを得なかった政府。陸軍と海軍の内部対立。そうした中で、「自存自衛」のために開戦に追い込まれた当時の日本の苦悩が如実に示されている。
著者は、末尾で大東亜戦争を踏まえての7つの教訓を語っている。そこでは大陸政策の失敗、軍事優先の国家体制などが挙げられているが、特筆すべきは明治憲法下における国家運営能力が時代に適応しなくなったという点である。当時の国家運営は実質的には元老と呼ばれる勲功者たちによって運営されていたが、最後の元老といわれた西園寺公望は開戦直前の昭和15年に死去していた。いわば、明治維新以来の政治体制の崩壊が開戦に至った遠因の一つであるという指摘は、興味深いものがある。(杉本治人)
陸軍参謀であった瀬島氏が戦後(1972年)に、ハーバード大学で行われた講演を、近年になってからまとめたもので、多少の後付け感はあるものの、明治からの指導者(江戸期の人)が居なくなり、政治体制(指導層)が崩壊し、大東亜戦争(WWⅡ太平洋戦線、対米戦争)に至ったという所は、おおいに同意。
敗戦を考えるうえで、1つの面として、必読の書では?
まっ、近年、陸軍参謀瀬島氏は、ソ連のスパイなのが推測されているので、核心部は話してない。このあたりは、辻政信と同じかな。