保阪正康 著/「特攻と日本人」

 

 

 

内容

志願か、命令か。英霊か、犬死にか。

主導したのは海軍か、陸軍か。

昭和史研究の第一人者が、残された遺書・日記を丹念に読み解き、

特攻隊員の真意に迫る。

-「BOOK」データベースより

 

 

 

 

前から「特攻本」は見つけると必ず読んでしまう。

最近は違った側面から先の大戦の本をよく読んでいるので、特攻本も受ける印象が変わってきた。

 

・「戦後社会の特攻論に欠けていたのは、[裁く]という信念」

「なぜこのようなシステムを生み出して学徒兵に死を強要したか、の模擬裁判を開き、その責任の・・・」

「馬鹿な作戦を命じた側にも責任があるが、その命令に従ったほうも愚かだった」ともある。

全文を通して「上から」書かれているように感じ不快であった。

「(馬鹿な)一般大衆はエリートの指導に従え」「(馬鹿な)一般大衆にはわからないだろうから教えてやる」的な方なのかな。と思って、著者の経歴を調べたら、占領期に初等教育を受け、高等教育期は学生運動。

同志社大→電通→朝日ソノラマ→朝日カルチャーセンター講師。そっち系の人でした。納得。

・特攻隊員の遺稿、手記等を取り上げているが、ほとんど学徒出身者のもであり、著者の考えに都合の良いモノなど、偏りが激しい。ほんの一部で、戦争肯定側も取り上げているが、それに対しては、「あなたもわかっていたのに当時の人が口を挟むことのできないほど完璧な表現を用いて己の姿をさらしてみたに違いない」「それらの言葉は戦後60年の間にすべてなくなった。それがあなたの希望ではなかったのか。」と無理やりに解釈してしまう始末。

・「軍部」に対して極めて批判的で視野が狭く感じられ、戦後の通説(史観)の見本のようだ。

 

★☆☆☆☆(良くない)
特攻隊員の事実関係に誤りがあったのでマイナス★一つ。

プロパガンダ的な文章もアジテーションのようなのでマイナス★一つした。