うちの長女は、4歳のときに「てんかん」を発症しました。
その日はとある年の大晦日。

病気って、ほんと突然です。

なんたって大晦日。
紅白とか見てました。

私とお風呂に入ってたら、窓の方をチラチラ見てました
何度も何度も。

なんか真剣な表情で、顔は動かさずに、目だけで何度も何度も見るので、
なんか霊的なものが見えてる!?って思わせる空気で。

母の予感?嫌な予感。

なんとかこっちを見てほしくて、笑わせようとしてみたり…

風呂上がり、主人に着替えさせてもらって、すぐ、白目をむいて、というか黒目を限界まで右方向に寄せて、倒れました。
倒れたまま、思い切り吐きました。
鼻からも口からも。
後から考えると、意識がないと鼻からも思い切り嘔吐物が出てくるんですね。

夫婦でパニックです。

お風呂でのことがあったので、私は「霊にとりつかれた!」って、本気で主人に言いました。
お祓いにいかないと!って本当にパニックで思っていました。

娘は白目のまま、人形のように動かない。
意識がなかった。

主人が「病院につれていこう!」って言い、私は我に返り、そうだそうだ、と保険証を用意。
(怖くて怖くて震えながら)

駐車場が少し離れていて、動かない娘を抱いて、車の前まで着いた時に主人が
「救急車だ!」
って、気付きました。
私も「それだ!」って。
あの時は二人でパニックで救急車を呼ぶということすら気付かなかった。

今思えば、バカな夫婦。若かった。平和だったから。

抱いて家に戻りながら初めての救急車を呼びました。

意識がなくなって、もう10分は過ぎていました。

その時は「てんかん」と言う病気を知らなかったので、何が起こってるのか分からなくて。

頭のなかは
(やばいかもしれない)
(このまま娘はもとに戻らないかもしれない)って血の気が引いて冷や汗をかいていました。

救急車が着いた頃には、もう20分は過ぎていたのかもしれません。

のちに知りましたが、てんかん発作は数分で治まるのが一般的で。
娘は自力では治まらないタイプの発作だったみたいで。

救急車に乗り、なんと言っても、大晦日です。
どこの病院も受け入れてくれません。
10分以上、救急車は動きませんでした。

外は、近所の人が野次馬というか、心配してました。

しばらくして家から一番近い、大きな病院が受け入れてくれました。

これは後から不幸中の幸いだったことになりました。長く続く通院、入院は、近いに越したことはなかったんです。

もちろんその時は、必死で、ただただパニックです。

救急車の中で、目を寄せて動かない、意識のない娘を見て、隊員さんが「これやばいな」って
他の隊員さんに言ったのを忘れません。

それが聞こえて、娘はこのまま死んでしまうかもしれないって思いました。

娘の発作はとにかく長く続くんです。
病院で痙攣止めの注射をしてもらうまで、ずっと発作が終わりません。
唯一の救いは、呼吸は止まらなかったことです。
呼吸が止まるタイプの発作だったら、もう死んでいたと思います。
すでに40分は過ぎていましたから。


病院につき、先生が走ってきて、ストレッチゃーで救急外来に運ばれて行きました。

待ち合い場所で私は初めて冷静になりました。
涙が止めどなく出てきました。
もう娘に会えないかもしれない。って

旦那はずっと「大丈夫だ」って祈るように言ってました。

15分ほどして、お医者さんが来ました。
ICUに居る娘のところに行くと、眠っていました。
意識が戻ったようで、白目をむいてなく、目を閉じて眠っていました。

先生が「痙攣を起こしていました」「ダイアップを注射しました」
みたいなことを言っていたと思います。


痙攣のあとは脳が疲れてひたすら眠るようで、朝まで起きないとのこと。
ロビーに居ても仕方ないので、一旦帰るように言われました。

ホッとしすぎて記憶が曖昧ですが、あれが痙攣だったんだ!と知りました。
病院に着いても「霊にとりつかれた」ってどこかで本気で思っていたので、治療してもらって、病院に連れてきてよかった。って思ったことを覚えています。
無知にもほどがあります。
痙攣って、体を硬直させて泡吹いて…って知識しかなかった。

もう、年を越していました。
こんな年越しがあるとは夢にも思っていませんでした。若かった。いかに平和に暮らしていたのか、のちに思い知ります。

心配しながら帰宅し、娘の嘔吐物を掃除し、
眠ることなんて出来ないと思っていたけど、疲れていたのでいつの間にか寝てました。主人も。

朝起きて、現実を思い出して震えました。
まだ朝の6時過ぎでしたが、病院に行きました。

娘が普通に戻って、先生に連れられて来ました。

先生に診察してもらい、痙攣の原因は分からない。一度の痙攣で、てんかん、とは決められない。(このとき初めて「てんかん」を知ります。スマホもない時代だった)
昨日頭をぶつけなかったか。とか聞かれました。
活発な娘は、たまたま昨日、ソファーから落ちて、痛い痛いと泣きながら眠ったという経緯があったので「それだ!」と思いました。

「てんかん」な訳がない!って思ったんです。
今思えば、あんな低いソファーから落ちただけで痙攣起こす訳がないんですが。

その時は、頭をぶつけた日はお風呂に入ったらダメなんだ。って肝に命じました。
少し腑に落ちないところはありましたが。

そりゃそうです。
一時間近く痙攣起こしてたんです。
そんなんが原因な訳がない。

またいつもの娘に戻り、日常が始まりました。

10日後に起こる大発作に続きます