〈ドゥナのタンクトップ・・・・〉(50点)


描写が全く逃げていない。そこがいつも韓画を見ていて思うところ。というかパクチャヌクに限った話かもしれないけど。この作品でいうところの復讐の描写だよね。一言で言ってしまうならばエグい


特にアキレス健がパックリひらくシーンや全体的な頸動脈のくだりとかね。もう実際にやってんじゃねぇかと思うくらい(笑)


ストーリーは工場の突然解雇によって起こる連鎖的な復讐劇なんだけどその絡み合い方がウィットに富んでいる。


少女を誘拐して、まさかの溺死してしまうところはちょっと強引だなとは思ったけど、この暗示的な演出は毎度ながら流石


首尾が同じで巡り巡って収束する骨組みは素直にツボ。直接的な感傷を排除してひたすらに構図的な作りになっていてそこが個人的に緊張感を欠いてダラダラというかもったりした印象を受けた


演出で強弱をつければ、そのスローリーでダラッとした感じが現実感としての良さに変わるんだけど、やけにテクニカルな面だけ目立ってバランスが悪いかなといったところ


ただ二度目観たら絶対に評価を見直す部類の作品ではある


パクチャヌクお馴染みのソンガンホが抑えた演技で魅せるけれど、聴覚障害のリュ役のシンハギュンがMVPかな


そして!!!、ペ・ドゥナのタンクトップに心を鷲掴みにされ、その後の濡れ場で天に召されたのは俺だけじゃないはず


タイトルがそのままのメッセージになっていて確かにどの加害も被害によるものだから分かるんだけど、音楽といったそういう要素も排してるこの構図的な作りがどうもなにも訴えてこない結果になってしまった


〈この抜けが癖になる〉(65点)


黒沢清の代表作の一つ。主演は御用達の役所広司


まず催眠術をかけて内的に溜まったドロドロとしたものを外に現出させて人殺しを誘発させる記憶喪失の男、間宮の人物設定が素晴らし過ぎる。それを演じた萩原聖人もハマっていた


まず第一にセリフと動きの掛け合いが面白すぎる。でんでん演じる催眠にかけられ同僚を殺してしまう警官と刑事の役所広司とのシーンや勿論、間宮とのシーンすべて


そして一人の刑事が逼迫されていく様や自分自身も取調べしている内にドロドロを外に誘発されていってるのではないかという、追い詰められた感じは役所広司以外出来ない役どころだろう


個人的に黒沢清はホラーではなく本質を滑稽に描く監督だと思ってる。一言でいうならば日常のすき間。そこにはびこるもの、巣食われるもの。