そらが亡くなってから今日で一週間が経った。
なんとも言い表せない日々だった。
12年間1日も、旅行に行っている日以外はずっと毎日一緒にいたものが居なくなって、なんだろう、まるで空気みたいに敢えて意識することなく当たり前に居るものだったから変な感じ。
ふとした時に無意識に探してしまう。
探している自分に瞬間的に気がついて、あぁもう居なかったんだなって、その癖が中々抜けない。
それにびっくりした。
犬との日々はそれくらい当たり前だったみたいだ。
朝起きた瞬間、部屋を出る時、外から帰って来た時、無意識だ。
12年間も一緒に居たから自分の癖になっていた。習慣になっていた。
だから、居ないことが受け入れられないと言うよりは、条件反射が抜けない感じ。
そして私は受け入れられているのだろうか。
当たり前だったから、敢えて意識する事なく触っていたから、自分の部屋に居ない時もあったから。
たまに愕然とする。
足元から掬われる気がする。
触りたい。
抱きかかえたい。
人間ってどうしても信じられない事が起きた時、その事実を捻じ曲げる。
心臓が動いていないと言った時、私はそんな訳ない、仮死状態なのではと思った。
昔誰かが亡くなった時も、誤報か、同姓同名と思った。
今はいい。
でも落ち込んだ時、母と喧嘩した時、いつもあの子に助けて貰っていたから私はそれをどう乗り越えるのかが想像つかない。
その時やっと私は深い悲しみに陥るのだろうか。
そらは心臓が悪かった。
腎臓も悪かった、あごもなかった。
最後の1ヶ月はずっと病院通い。
12歳だったから近い将来いつかはと思っていたけれど、こんなに一気に病気になって とは思っていなかった。
他の子はピンピンしているのに、何故そらだけこうなったんだろう。
個体差という他無いのだろうけど。
そして、なにより私の育て方か。
自分の餌を食べて、他の犬の餌をとって、なおゴミ箱まで漁る、いっつも腹ぺこのあの子が餌を食べなくなった。
カリカリがダメになって、缶詰がダメになって、介護食がダメになって、何なら食べてくれるんだろうって毎日試行錯誤していた。
最後に行き着いたのはちゅーるだけ。
なんとかそれだけは自分から食べてくれた。
ミルクは口に入れる側から出してた。
本当に頑固ちゃんだった。
私に飼い主の威厳が無かったんだろうけど。
そらに嫌がる事をしたい訳じゃない、それでも食べてくれ、ごめんねと言い聞かせながら強制的に口に入れていた。
薬もそう。
でもあの子は頑固だった。
亡くなるまで毎日抵抗した。
勝つ日もあったが、全部溢れて負ける日もあった。
心が折れる度に、もう一度入れ直した。
私が折れればもう諦めるしか無かったから。
それだけは私が嫌だった。
あの子は嫌だっただろうけど。
心臓は早く、強い鼓動で呼吸は苦しそう。
大好きな餌は食べられない。
本当に辛かったと思う。歯痒かっただろう。
だから今はこの不自由な身体を脱ぎ捨てて、自由に餌を食べているといいなと思う。
そんなのは生きている側の勝手な希望だけど。
人間の記憶は当てにならないもので、日に日に忘れてしまう。
だってあの子が口を閉じていた頃のことなんて、もう覚えていない。
たった4ヶ月前のことなのに。
だから今回もそれが怖い。
忘れるのが怖い。
このなんとも言えない気持ちを忘れるんだろう。
それはきっと止められない。
生きている限り細胞は更新されてしまうから。
この世界から、長い間の苦しみから解放されて、お疲れ様でした。
不甲斐ない飼い主と寄り添ってくれてどうもありがとう。
あなたが大好きでした。