1920年代のパリ。
マリー•ローランサンとココ•シャネルの2人に光を当てて、モードと芸術との繋がりや当時を生きる人々の息吹を感じられる展示だった。

マドモアゼル・シャネルの肖像 1923年(ローランサンに肖像画を依頼するのが成功の証、上流階級で流行だった時代。シャネルはこの絵が気に入らず描き直しを求め、ローランサンは受け入れなかったという。)

 

 

撮影可能の場所が3月26日まで追加され、夢中で撮影してしまった。(しかし、撮影OKだと絵をみるより意識が撮影に向いてしまうのは否めない。あまりよくないかも。)

 


1910年代キュビズム時代のローランサンの絵、図形のような女性の手足、性を感じさせない冷たいイメージ。ピンクと水色がかったグレーの色彩ではあるけれど。

 

 

蒼と黒の帽子を被った少女。1913-1914年頃。キュビズムの影響のある絵、とても好み。この冷たい視線がいい。

 

 

白い羽飾りの黒帽子をかぶった乙女 1915年

 

 

 

壁に映し出されるマン•レイの撮影したローランサンやシャネルや社交界の美しい女性達の写真。どれも美しくて立ち止まっていつまでも眺めてしまう。一冊これだけの図録が欲しいくらい。エレガント!

 

 

ローランサンが手掛けたバレエの舞台衣装のイメージ画や写真、実際のバレエ映像はとても貴重!ジャン・コクトー、マン・レイ、シャネル、ローランサン・・同じ時代に生きて舞台にも進出して才能を開花させていったのか、と新鮮な驚き。

 

ローランサンの色彩の衣装で踊るバレリーナ、舞台もこの色彩。ローランサンの絵の中に迷い込んだような気持ちになっただろう。(しかし・・ローランサンのイラストではよくわからなくて、リハーサルで衣装などが大幅に変更になり本番を迎えたそうで、サラッと書いてあるが、現場はどれほど大変だったか気が遠くなった。そして、ローランサンのイラスト・・確かにこれじゃあ‥と驚くイメージイラスト。)

 

シャネルの作った帽子が展示されており、これが~!!!と興奮してしまった。装飾を省き、シンプル&エレガンスを追求したデザイン。

 

 

 

1920年代、1930年代のファッションの変遷を実際のドレスで体験できる。たった10年で時代は大きく変わる。

 

 

1922年 ニコル・グルーと二人の娘、ブノワットとマリオン 

ピンクとグレーで構成された背景と人が淡い色の中に溶けこんでいくような肖像画。これぞマリー・ローランサン。

 

こんな鮮やかな色彩の作品、知らなかった!

 

時代の流れに否応なく画家も流され、模索していく姿がまざまざと見える。

1920年代にはローランサンは時代の寵児であり、誰もが成功の証として彼女に肖像画を依頼していたというのに。ジョルジュ・サンドが孫娘の為に書いた童話の一篇、「ピクトルデュの館」をふと思い出していた。主人公の父親も富の象徴のような装飾溢れ、華美な肖像画を描きもてはやされるのだが、時代が移り変わり飽きられてしまう。しかし、後妻とともに華やかな生活を変えられず金策に苦しむ。ジョルジュ・サンドがこの童話を書いた時代は1880年代。いつの時代も同じようなことが繰り返されている。

 

 

ピンクとグレーの刺繍が施されたロング・ドレス  カール・ラガーフェルド シャネル 2011年春夏コレクション

 

アートとモードが一つになったあの時代の残り香は、後世にも大きな影響を与えているのだと感じるドレス

黒いサテンのリボンのついたピンクのフェイユ・ドレス 2011年 カール・ラガーフェルド シャネル

 

よこ糸を太くし、縦糸を密に織ることで、よこ畝をだした絹織物のことをフェイユ(ファイユ)素材と呼ぶそうなのでこれもきっとそういう絹織物で作られているようだ。実物ではなく写真だったので素材はよくわからなかったが。

 

 

 

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ロビー・ラウンジでは展覧会とのコラボメニューが楽しめる。

ローランサンを彷彿とさせるコーデでいくと貰えるステッカー(ピンク、グレー、水色、小鳥や犬など)

 

この展示が終わるとBunkamuraはいよいよ閉館。長い改装期間に。本当に寂しい。ロビー・ラウンジもCaféドゥ・マゴや本屋さんも改装後に戻ることは決まっていないそうなので、しっかり味わっておかなかれば。