応接室に通された家族三人は、あっしを真ん中にして一列に座った。
革張りだか、ビニール張りだかのソファは、立派だが少し暑苦しく感じた。
それに、ゆったり座ると何だかふんぞり返っているようで、
あっしは不自然なくらいに背筋を伸ばして座っていた。
ほどなく、貫禄のある男が入ってきた。
「ああ、どうも。ようこそ瑞浪へ!」
両手を大きく広げながらニカッと笑った。
「ここ瑞浪分園の総務部で部長を務めています、堅山です」
「こらどうも、はじめまして」
父をはじめ、あっしらみな席を立って挨拶する。
まあ、こんへんのやり取りはよくある風景なので省略する。
「それにしても、Mr.アホリはどこでここのことをお聞きになったんですか?」
「昔にねえ、僕の妹…つまりこの子の叔母にあたる人物が、嫁入り前にここでお世話になってたようで。
そん時の話を聞いて、今、変にあせって就職させるよりも、ここで何年か修行させてもうた方が、貴教の人間的成長につながるんやないか思いまして」
「そうですか。二十年以上も前となると、ちょっと私にもわからないけども…
ということは、近くの事務所の代表世話人さんを通さずに来られたということですか?」
一同、返事に困る。近くの事務所?代表世話人?