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終わり・最後を意味するフランス語である。
映画のエンドロールで目にする機会が多く、これは映画の本編が終了したことを表す。この際、フランス語の定冠詞である『la』をつけて『la fin』と表現することもあるが、意味合いとしては同じである。ただし、フランス国内に於いてエンドロールで【fin】が使われることはなく、代わりに『C’est fini』という表現が用いられる。フランス語を基にしているだけで、あくまでもフランス国外特有の表現であることに注意が必要である。
日本に於いては『ファン』と読む。英語圏では、文字通りに読むと『フィン』になるところだが、日本と同じく『ファン』と発音される。その理由は、『フィン』は魚の鰭を意味する別の単語である為、区別が必要になるからである。
フランスに於いても、文字通りなら、本来は『ファン』と発音すべきところであるが、実際には『フィン』と発音されることが多い。映画のエンドロールで用いるのは、フランスでは一般的でない表現である為、現地の人々がフランス語だとは思わず、英語の『finish』の略だと捉えているからだ。
このように、読み方をめぐる事情は国によって異なるが、フランス語圏以外のほとんどの国では『ファン』と発音すると考えれば問題ない。
映画のエンドロールで表示されるフランス国外特有の表現であるが、積極的に用いられるようになったのは、1970年代以降と考えられている。1970年は著作権法が制定された年であり、それによって映画にエンドロールを流し、スタッフ名を表記しなければならなくなった。それまでの映画は、物語が終われば上映も即終了していたが、長いエンドロールが追加されたことにより、具体的な上映終了がどのタイミングなのか不明瞭になってしまったのだ。
そこで使用されるようになったのが、【fin】という表現である。この文字をエンドロールの最後に表示することにより、映画の上映が終わりであることを観客に知らせる役割となっている。
なぜ英語の『end』が用いられなかったのかについては、諸説ある。一説によると、楽譜の最後に終わりを表す意味で『fine』と記載されている為、そこから転じて映画でも表示するようになったという考え方がある。
いずれにせよ、映画で表示させるのは義務ではない為、監督の好みによるところが大きい。
小説や漫画等の創作物に於いても、映画のような雰囲気を出す為に、物語の最後に【fin】と記載される場合がある。
この際、省略を表す『.(ピリオド)』を付けないことに注意する。フランス語では、言葉を省略する際にピリオドを用いないので、付けると英語として捉えられてしまう。