主に、日本の神社や寺院に於いて、参拝者向けに押印される印章及びその印影。
それらの敬称を【御朱印】と呼ぶ。

本来は「御納経御朱印」 等と呼ばれ、経典を写経したものを寺院に納めた代わりに証として受ける領証(証明印)であった。
その為、朱印を受けることを「納経」とも云う。
現在でも納経(写経の奉納、又は読経)をしないと貰えない寺院が存在する。
現代では、納経と関わりなく参詣の証明となっている。
その寺院の御宝印に寺号印や山号印を組み合わせて押印したもので、上から尊号や法語等が墨書されることが多い。
社寺名や神仏名等の他に参拝日や「奉拝」等の文字が書かれることも多く、一般的にはその墨書も含めて【朱印】と呼ばれる。
他にも社務所・寺務所や宮司・住職の印、そのほか霊場の札番号や祭事など追加の印が押されることもある。
複数の印影を集めることを集印と云い、朱印を押印し集印する為の専用の帳面を朱印帳・御朱印帳・納経帳・集印帳と呼ぶ。
大正時代頃に生まれた屏風折にして両側に固い表紙をつけた形式のものと、古くからある和綴じのものが多く、社寺、神仏具店や文房具店、書店等で販売されている。
一般的には朱印帳を寺に持参して社寺に規定料金を支払い寺院から印を受ける。
「お気持ちをお納め下さい」として金額を明示しない場合もある。
この場合「志納」と云う。
また、服装に輪袈裟や白衣姿等でないと応じない寺院、事前に電話やインターネット等での連絡が必要な社寺もある。印・墨書に社寺名や神仏名、寺院の朱印の場合は仏そのものを表しているとされる梵字(種子)が入っていることも多いことから、社寺で授与されるお札などと同等とされ、粗末に扱うべきではないとされる。
実際、朱印帳を普段は神棚や仏壇に上げているという人も少なくない。
同様の理由で正式な朱印帳を持参しない場合、スタンプ帳やメモ用紙、ガイドブックの余白などには朱印を拒絶している社寺もある。
このような場合は社寺が用意している一枚物の紙に押印して貰える(いわゆる「書き置き」)場合もある。
朱印をする社寺は朱印帳を授与していることも多い。
オリジナルの朱印帳を用意している社寺もあり、これを収集する人もいる。
「記念スタンプ」とは違い、社寺の職員や神職、僧侶、氏子等の手によって押印し、参拝者側が自由に押印出来ないのが一般的である。
ただし、無人あるいは無人となることが多い寺院や神社の場合は、参拝者が自ら押せるように印章が置かれている場合や、書き置き朱印の完成品が用意されている場合もある。

単なる印だけの場合や、印に「奉拝」等の文字だけや、日付だけを墨書する場合もある。
なお、社寺名・神仏名の入った墨書風の印章(スタンプ)を押すいわゆる「版木押し」であったり、事前にあらかじめ「書き置き」した別紙、または墨書や版木押しを複写した(印刷した)別紙を渡される、もしくは、貼り付けられる社寺もあるが、江戸時代初期には既にこれらは存在している。
他にも霊場の場合は、印刷された台紙に印のみを押す場合、紙ごと差し込む場合等もあり、こちらも古くから存在するものである。
いずれにせよ、朱印としての価値は変わらないとされる。
全ての社寺で行われている訳では無い。
無人の社寺では基本的に行っていない場合が多く、有人の社寺でも最初から受け付けていなかったり、以前は行っていたものの辞めてしまったりしている場合もある。
理由としては、対応者の多忙や死去、朱印の破損や盗難、後述するブームに伴うトラブル回避などが上げられる。
西国三十三所霊場詣や四国八十八箇所霊場詣、他にも社寺何ヶ所か合わせての七福神巡りに代表される霊場巡り等の場合には、専用の朱印帳や用紙、色紙、掛軸などが用意されていることもある。
四国八十八箇所詣等の霊場巡りでは、巡礼中に着ている白衣に御朱印をもらう場合もある。
また、霊場には再度参拝した時に、以前戴いた朱印に対して少しずらして再度印を押す重ね印を行う場合もある。
朱印は一つとは限らず複数扱う社寺もある、神社によっては摂末社や兼務神社の朱印、寺院によってはご詠歌や仏堂、仏像ごとに貰えることもある。
また、年中行事や秘仏の御開帳、特別公開期間等に合わせて特別な朱印にすることもあり、複数の霊場を兼ねる社寺では霊場ごとに別の朱印が用意されていることもある。
近年は金泥・銀泥を使ったり、カラフルな和紙を使ったりする等、従来とは異なる朱印も増えている。