下に開口部を設ける機能と支持体としての機能を備えた、典型的には曲線的な部分のこと。別の言い方をすると、中央部が上方向に凸な曲線形状をした構造であり、梁の機能と柱の機能を兼ね備えたものである。

あるいは、それに形状が似た構造物のこと(こちらは形状が似ているというだけでのことであり、ただの比喩)。

建築史を語る上で非常に重要な要素である。世界的に見ると古代から19世紀までの建築物の多くは石造、すなわち組積造であり、古代エジプト、バビロニア、ギリシャ、アッシリアなどで古くから使われていたが、その多くは地下の構造物であり、地上にお於いて大きく発展させたのは古代ローマであろう。
古代ローマ人はアーチを利用し、例えばポン・デュ・ガール(ユゼスの湧き水を50km離れたニームにまで運ぶ水道(水路)をガルドン川を越えて通す為の水路橋)も建造し、またコロッセオではオーダーと組み合わせることで、装飾的な外壁を生み出した。

下に開口部(空間)を生み出すので、例えば、下に川の水を通さなければならない橋を造る際に使われ、また建物の壁の中に開口部を造る場合(たとえば建物の出入口や窓部)、門を造る場合、等々に使われる。

アーチ形状の構造物内では、鉛直方向の荷重の大部分の力は圧縮力であり、その力は両端の支点まで伝えられる。石材や焼成煉瓦など、圧縮に強い建築材料で組むことが出来る。

大体が2次元内に収まるものであるが、これを3次元に展開したものがヴォールトとドームである。ヴォールトはアーチに属する平面に垂直な直線上を移動させた際の軌跡が描く立体であり、ドームはアーチの対称軸周りにアーチを回転させた際の軌跡が描く立体である。いずれも大きな空間を、組積造にて実現するには欠かせない技術である。

なお、窯を組む場合もアーチで組む場合がある。