アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル南部のパンパ(草原地帯)やアンデス山脈東部に17世紀から19世紀にかけて居住し、主として牧畜に従事していたスペイン人と先住民その他との混血住民である。多くの場合、その伝統的な装い、マテ茶、生活に根差した牧畜文化に象徴される。ウルグアイでは【ガウーチョ】、ブラジルでは【ガウーショ】という発音がより近くなる。

グアラニー語の「孤児」や「放浪者」を指した言葉が語源とされるが、マプーチェ族の言葉で「友達」(ガチュ)を表していたという説や、南ブラジルの方言で「牛殺し」(ガウデリオ)を表していたとも言われている。

さながらアメリカ合衆国のカウボーイと似ているともいえる。スペイン人と先住民、その他との混血が多くなっていった。ブエノスアイレスやモンテビデオの商人に輸出用の牛や馬の皮革や肉を卸していた。都市の知識人の印象は悪く、今ではアルゼンチン人・ウルグアイ人のアイデンティティとなっている言葉も、17世紀から18世紀にかけてはむしろ下層階級の浮浪者等の人間をネガティブに指したものだった。
こうした存在には黒人(アフリカ系アルゼンチン人、アフリカ系ウルグアイ人)なども含まれていたという。

19世紀後半以降、職業、社会階層としてのガウチョは消滅したが、それでも現在のアルゼンチン人、ウルグアイ人とブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州の住民が誇りを込めてガウチョを自称する。アルゼンチンで「とてもガウチョだ」と言えば、寛大で、他人の為に自己犠牲を惜しまない人のことになるし、「ガウチョらしく振舞う」といえば自己を犠牲にしても他人の為に尽くす人という意味になり、「ガウチョの言葉」といえば、それは「武士の一言」を意味する。旅行者や在住者がしばしば口にする、アルゼンチンとウルグアイに於ける強烈な個人主義はそこから来ているとも言われる。タンゴの楽曲に「ガウチョの嘆き」があり、強い嫉妬を抱くガウチョが登場する歌詞がついてある。 なお、職業としての牛飼いはバケーロ、牛飼いに限らず農業に従事する雇い人はペオンとよばれる。

日本では、2016年頃から若い女性を中心に【ガウチョパンツ】が流行し始めた。
本来のガウチョとはかなり異なるが、キュロットスカートに似て「足の短さや太さをカバー出来る上に動きやすく、やや可愛い」という事がウケているとされる。