外交官や領事裁判権が認められた国家の国民について、本国の法制が及び、在留国の法制が(立法管轄権を含めて)一切及ばないことをいう。在留国の法制が及ぶことを前提に、一定の免除が与えられることを指していうこともある。

かつて、外交上の慣例として、派遣国の認証があり、接受国による信任状の受理(接受)があった場合に於いて、派遣された外交官に対して相互に認められる特権として確立されてきた。もっとも現在では、外交官であっても接受国の法制が及び、刑事裁判権等の一定の管轄権を免除されるに過ぎないとされている。このような免除を受ける特権は、ウイーン条約に於いては、外国の公使館及び外交特権を所持している外交官に認められる。また、正式訪問中の国家元首や首相、外務大臣、国内に停泊中の公用船(軍艦含む)、公用機(軍用機含む)の内部に適用されると解される(民間船舶・航空機については旗国主義を参照)。

何らかの戦争や強制外交、優越的な条約の締約の結果として、戦勝国などに治外法権の租借地を期限付きで認めた場合等には、片務的な特権としての治外法権の問題が生じる。
この際に問題となるのは、不平等条約に基づく領事裁判権である。多くの場合は接受国の認証なく、単に戦勝国の国民・あるいは兵士であるという地位に於いて享受することが可能となる為、外交交渉に於いてこれらを撤廃することは重要な外交課題となる。