【フィールドシート】と云う名の特等席。
野球場の内野席をグラウンドの最前線(ファウルゾーン)までせり出して、選手のプレーを目前まで見渡すことの出来る座席のことである。
アメリカのメジャーリーグではファウルゾーンが狭く、スタンドが低くせり出している形状が多く(せり出していない球場も、スタンドの位置は低くなっている)、その多くは防球ネットが無いことから内野手(特に1・3塁手)の選手がボールを追いかける時にはその選手がそこに突進するなど、迫力あるプレーを楽しむことが出来るといわれている。
一方で日本の野球場は東京ドーム・阪神甲子園球場・ナゴヤドーム・横浜スタジアムを除けば内野スタンドの位置が高く、これらの球場も、いずれも高い防球ネットが張られており、迫力に欠けるという指摘が相次いでいた。
(2005年に横浜スタジアムは撤廃)
これを踏まえて日本でもこのようなシートを設置するケースが増え、既存の球場に於いてベンチ横から外野にかけて、防球ネット無しで元々ファウルゾーンだった場所に増設された場合が多い。またフィールドシート=防球ネットが無い、と理解されていることが多いが、存在する球場もある。定義は曖昧であり、基本的には球場の自称である。
日本では2003年、ヤフーBBスタジアム(現在のほっともっとフィールド神戸)で初めて採用。ファウルゾーンにあった控え投手用のブルペンを外野寄りに移動し、ベンチに隣接する形で防球ネット無し(ただし万が一の為に、各座席に上下可動式の透明アクリル製の防球板が設けられている)が設置されるようになった。透明のアクリル板は、当初取り付け予定にはなかったが球場内で起きた事故は球団の責任となるため急遽設置された。
設置にあたっては、ゼネコン出身の元球団職員で一級建築士である田中浩一が設計・施工に参加した。この名称も田中が考えたもので、現在は他球場でも使用されている。
プロ野球本拠地では・・・
2005年
東京ドーム
フルキャストスタジアム宮城
2006年
千葉マリンスタジアム
福岡 Yahoo! JAPANドーム
2008年
阪神甲子園球場
2009年
札幌ドーム
インボイス西武ドーム
MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島
2010年
京セラドーム大阪
2013年
横浜スタジアム
2016年
ナゴヤドーム
設置が無いのは「明治神宮野球場」のみである。
また、2016年に開場したソフトバンクの二軍本拠地である「タマホーム スタジアム筑後」にも設置されている。
また、地方球場でも「静岡県草薙総合運動場硬式野球場」、「四国コカ・コーラボトリングスタジアム丸亀」など、近年開場した球場や改装した球場に設置されることも珍しくなくなっている。しかし、日本の場合は既存のスタンドに取って付けたような型式である場合が多く、アメリカの野球場のように他のシートと完全に一体となって設計されているのは、「三次きんさいスタジアム」くらいである。
防球ネットの無い場所では他に打球を防ぐものが無く危険な為、グローブやヘルメットを貸し出すところ、そしてその着用を義務付けているところが多い(実際には守られていない場面が多々見受けられる)。
千葉や宮城では、アマチュア並びに2軍の試合でもシートを解放するが、東京・福岡・札幌・大阪の各ドーム球場はアマチュア野球の大会開催時は基本的に使用しない。
また、アメリカンフットボールや格闘技、コンサートに使う時は客席や舞台設置など会場設営の支障をきたす為に撤去することがある。特に札幌と大阪は隣接する可動スタンドの移動のため頻繁に撤去されている。その為アマチュア野球の場合は設置されていないままの場合がある。
日本では野球場以外でも、Jリーグの試合が行われる競技場に於いて似たような客席を設置する場合がある。
ノエビアスタジアム神戸では、グラウンド上に特設応援席を設置している。ヤンマースタジアム長居・金鳥スタジアム・万博記念競技場でも【芝かぶり席】として設置。
2009年からは、「京都市西京極総合運動公園 陸上競技場兼球技場」・「NDソフトスタジアム山形」・「エディオンスタジアム広島」・「味の素スタジアム(東京ヴェルディ1969主催時)」にも設置されている。
ラグビー場では、花園ラグビー場にも設置している。
神戸・金鳥・花園以外は全て陸上競技場である為トラック上又はその脇あたりに設置されており、陸上競技で使用する場合には邪魔になるため可搬式の仮設構造となっている。
また、構造上観客をフィールド上に入れることになる為ヒールやスパイクの禁止や試合時間中に入退場出来ない(トイレは前半と後半の間に行くよう指示される)など一般の観客席にはない種々の制限がある。
気迫に満ちたプレー、其処でしか味わえない臨場感。
声を出す応援も数年ぶりに再開された。
球場の選手へ生の声援を届けよう。