携帯電話のメールなどで文字を分解・変形させて文字を表現する遊び・手法。またそれらの文字そのものの呼称。
【へた文字】とも呼ばれる。

ひらがな・カタカナ・漢字をいくつかのパーツに分解し(漢字なら偏<へん>と旁<つくり>に分けるなど)、必要であれば似たような形の別の文字・記号に置き換えることによって作成する。例えば、ひらがなの「い」を左右に分離してから、左側を「し」、右側を「ゝ」にそれぞれ置き換えれば、「しゝ」となる。漢字の場合は、特に置き換えを行わずに分解するだけでいいこともある(「始」→「女台」や「終」→『糸冬』など)。それ以上分離出来ないような文字の場合は、分解を行わずにその文字自体を似た別の字・記号に置き換えるだけにする(例えば、「へ」を「∧」にするなど)。必要であればアルファベットやギリシャ文字等を用いることもある。このような表記を取ることによって、ギャル文字は『可愛くて、手作りのあったかい感じ』を表現することが出来る。また一部には、インターネットスラングを応用したものが存在する。

2002年(平成14年)から2003年(平成15年)頃に普及し始め、実業之日本社の石川正尚が【ギャル文字】と名づけた。マスメディアが取り上げたことによって広く認知されるようになったが、2005年(平成17年)頃になると流行は途絶え、あまり話題にのぼらなくなった。

使用するのは、主に若年の女性(女子中学生や女子高生)であり、2005年当時女子高生の8割程度は入力出来なくても読むことは出来るとされた。男子は殆ど使用しないので、愛用する女子も男友達にメールを送る時には通常の書き方にする。高校を卒業すると使わなくなることが多く、中学から高校ぐらいまでの女性の間でだけ使用されるという意味で、特定の社会的・文化的集団(言語学でいう位相)の内部でのみ通用する『位相文字』の一種と考えられる。

彼女らが使用する動機としては、会話内容が(親を含む)他人にばれないという暗号的な側面の他、大人には分からない仲間内だけの世界を作ることが出来るということ、文字遊び(文字の創作)、流行の創作自体が楽しいといったことが挙げられる。さらに、ギャル文字によるメールは通常よりも作成に時間と手間が掛かる為、それを相手に送信することによって『これだけ手間のかかるメールを用意するぐらい私はあなたのことを大切に思っている』ということをメタ・メッセージとして言外に伝える効果もある。

毎日コミュニケーションズが2010年(平成22年)に20歳代を対象にインターネット上で行った調査によれば、『好き』と答えた人が2%であるのに対し、『嫌い』と答えた人が61 %であり、一般的にはあまり好意的に受け入れられなかったことが分かる。

また、一部カラオケ機器の歌詞表示にも採用された。