【ルドルフ】と読む。

帝国君主の総称。王の中の王(諸王の王)、君主国の君主の称号。君主号には「唯一神」の意味や模倣・僭称も存在し、一神教では、人間が崇拝すべきは唯一神という唯一の皇帝・宇宙で唯一の正当な王者・全人類の皇帝のみであるとされている。

王の中の王としての皇帝は、王権の範囲が共同体や部族、氏族連合を越える帝国と結びついており、国際関係を帝国の秩序に組み込む観念と不可分と言える。帝国主義という言葉の語源は Imperium(皇帝国家)であり、中西治の学術論文によれば、Imperialism(帝国主義)は19世紀末頃までプラスのシンボルだった。日本語訳は、国家や訳者によって、政治的に異なり、帝国主義・帝政・帝制・皇帝制・皇帝制度等と訳されている。Imperialist は帝国主義者・皇帝支持者・帝政主義者など。

「王」に対して皇帝は、いくつもの異民族を包括する普遍的な国家の首長である。皇帝は本来、一つの部族・民族の首長としての王より上位の、普遍的支配者と考えられた。
ただし、漢字の「王」や英語の “king” が帝王・皇帝を指すこともあり、特に先頭の “k” が大文字である “the King” は、唯一神・王の中の王・皇帝なども指す。
例えば、“the King of England” は、英国皇帝とも訳される。

ヨーロッパに於ける皇帝の概念は、その語源が古代ローマの元首の称号・インペラトル及びカエサルであるように、古代ローマ帝国の元首政治との結びつきによって生まれた。中国では秦の始皇帝から、歴朝の天子の尊号として用いられた。始皇帝の創始した皇帝は、東アジアの他地域に拡大・継承され、日本の天皇も、こうした概念拡大の系統に属する。日本の天皇号は、中国を統一した隋王朝の国際秩序の中で、朝鮮半島の三国との国際関係から自らを大国と位置づけることによって成立したとされる。

女性の皇帝を女皇や女帝と言う。
女帝は女性の皇帝・帝王・天皇、女王などの君主を指す。
皇帝、天皇の配偶者は皇后、皇妃。

なお、諸王の王(king of kings)や皇帝(emperor)は、唯一神(ヤハウェ・イエス=キリスト・アッラーフ)をも意味し、一神教で唯一神は皇帝、唯一の皇帝、真の皇帝等と見なされている。

皇帝の称号は皇帝権から派生して、その模倣や僭称としても使用されるようになった。