日本史に於いて、主人が従者との主従関係や従者の持つ所領知行を承認する行為を指す概念。特に鎌倉後期以降は、その支配領域内人々の規制、所領知行の公的な認定を意味した。

【安堵】という言葉は『史記(高祖本紀)』に見られ、日本でも漢語表現として古くから用いられてはいたが、権利保証に関する意味での【安堵】の語が生じたのは、平安時代後期以後と考えられている。この時代には社会の不安定によって「私有財産侵害」の例がしばしば発生していた。

その為、土地等の財産所有者が実力者に自己の財産に対する権利の保証を求め、実力者は財産の保護を約束して所有者に精神的安堵を与える代わりに所有者に対して一定の奉仕を求めた。この権利保証と代償としての奉仕が恒常的になることによって、実力者と所有者の間に主従関係に発展した。特に
、初期の武家法ではこの関係が重要視され、権利保証と代償としての奉仕はそれぞれ、御恩と奉公の関係に転換していくことになる。