志賀直哉の小説である。
雑誌『改造』に1921年(大正10年)1月号から8月号まで前編、1922年(大正11年)1月号から1937年(昭和12年)4月号まで断続的に後編を発表した。
志賀唯一の長編小説で、晩年の穏やかな心境小説の頂点に位置づけられる作品である。4部構成。

当初は1914年(大正3年)に『時任謙作』という題で『東京朝日新聞』に連載される予定だったが挫折、完結までに26年間の時を要した。
近代日本文学の代表作の一つで、小説家の大岡昇平は「近代文学の最高峰である」と讃えている。