仏教の世界観の一つであり、天上界に於ける最高の天をいう。
非想非非想天、あるいは非想非非想処とも言う。
俗語の有頂天の用法についても後述する。

有の頂を意味している。
下から欲界・色界・無色界の三界のうち、無色界の最高の処を指す。
九次第定の一つ。

『倶舎論』に於いて、三界の中で最上の場所である無色界の最高天、非想非非想天が、全ての世界の中で最上の場所にある(頂点に有る)ことから、有頂天と言う。
非想非非想処天とは、この天に生じる者は、下地の如き麁想(そそう)なきを以て「非想」、または「非有想」といい、しかも、なお細想なきに非(あら)ざるを以て「非非想」、または「非無想」という。
非有想なるが為に外道(仏教以外)は、この天処を以て真の涅槃処とし、非無想なるが為に内道を説く仏教に於いて、なお、これを生死の境とする。

なお、鳩摩羅什による漢訳の『妙法蓮華経』序品では、三界の第2位に位置する色界の最高の天である色究竟天(しきくきょうてん)を「有頂天」としたことから、上記の仏教一般の説とは異なる見解を生んだのである。