ヴィルトゥオーソ(virtuoso)とは、音楽演奏に於いて格別な技巧や能力によって名人・達人の域に達した人物を指すイタリア語。

イタリアでは、哲学や建築等の、学術・技術に優れた者に対しても用いられた表現だが、16世紀頃から主に芸術分野で用いられるようになる。

17世紀に音楽劇が発足して以降は優れた歌手の形容詞として用いられ、その後ヴァイオリン等の弦楽器の発達により、器楽の演奏者にも適用されるようになり、当時音楽文化の中心であったイタリアから諸外国にも広まった。

英語ではそのまま用いられ、フランス語ではヴィルトゥオーゾ(virtuose)、ドイツ・オーストリア諸国では、ヴィルトゥース(virtuos)というラテン語由来の単語が定着していた為、演奏の名人に対してもそのまま使用された。

ただし、ドイツ語の場合は演奏の名人はVirtuosと表記する、また、フランス趣味のドイツの宮廷ではフランス語が使用された為、ヴィルトゥオーゾ(Virtuose)がそのまま用いられ、その後両方が定着した。

現代ドイツ語では、フランス語由来のvirtuose及びその変化形は、技術偏重を表現する反語的な言葉として用いられることも多い。

その後、華やかな超絶技巧に結びつきやすい楽器(ピアノ・弦楽器・ドラム)を用いるクラシック音楽以外のジャンルでも何らかの技能的能力を伴う『芸』に対する達人を上品に表現する用語として用いられるようになってきた。

日本語では、ほぼクラシック音楽の楽器演奏者に限定されて用いられる。