自宅からすぐそこの藪に居を構えた。

竹を掻き分けて、家で使っていた植物栽培用の支柱と防虫網を張り巡らせた。

泥濘(ぬかる)んだ土壌にはレジャーシートで対応。


親から叱られた時の避難には、十分すぎる安全地帯だった。

宿題をサボっては度々遊びに来た。



けれど、そこが私有地じゃなく
某企業の保有地だと知らされ
やむを得ず…自主撤退に追い込まれた。


今となっては、ありふれたごく普通の場所だけど
そこが秘密基地だった事を僕は忘れない。