🔸「ト月十日」にまつわる有名なジンクスの種明かしをしますと、前回の記事最後に申し上げた通り、今回の記事のタイトルは、
《 Don't do it!「やってはいけない!」妊娠にまつわるジンクス❓》という話しです。
🔸ただ、「妊娠にまつわるジンクス」でググると、約 20,300 件の検索結果に。また、「妊娠 ジンクス」だと、約 934,000 件もヒットるのです。
🔸そもそも、「ジンクス」とは「縁起の悪い言い伝え」だったものが、近頃では「良い悪いどちらにせよ、縁起をかつぐ対象となるもの」 とか、「縁起のよい、または悪い言い伝え」といった表現に薄まっているというか、マイルドなニュアンスに変わってきているのですね。
🔸というわけで、「縁起の悪い言い伝え」だであることを強調して、わざわざ(Don't do it!「やってはいけない!」)という文言をタイトルに添えています。。。と言っても、あくまでもジンクス(jinx)であり迷信ですので、怖がることはありませんから安心してください では始めます。
🔸室町時代の意義分類に依拠して編さんされたと言われる国語辞典に『下学集(かがくしゅう)』があります。約3000の単語を、その意味によって18のジャンル=門に分けて羅列しているそうです。
🔸この『下学集(かがくしゅう)』にDon't do it!「やってはいけない!」)という言い伝え」=ジンクス(jinx)・迷信が記されているのです。
【庚申(こうしん)】此の夜盗賊事を行ふに利有り。故に諸人眠らずして夜を守る。或る説に云はく、此の夜夫婦婬を行ふときんば、其の妊(はら)む所の子、必ず盗みを作す。故に夫婦慎む所の夜なり。之を思へ。〈時節門〉
下学集bot
@kagakushu_bot
🔸簡単に説明すると、《庚申(こうしん)》の夜に盗みを行うと上手く行く。だから人々は眠らずに夜を明かす。ある説によると、この夜にエッチをすると、それで妊娠した子は、必ず盗みをするようになる。。。だから(夜を明かすからといっても)男女はエッチを自重しなければならない》ということが記されているのです。だからDon't do it!「やってはいけない!」として伝わっていたのですね。
🔸まあ、これを教訓的な言い伝えと解釈すると、「へぇー、ありがたい(=Thank you)」話のようですが、実際にはジンクス(jinx)・迷信ですから有りえない(=Impossible)」話しなのです。
🔸さて、ここからが本題です。随分と前フリに時間をかけましたが、そこで登場するのが、「ト月十日」なのです。そこで、上記《庚申(こうしん)》の日にエッチをしたことで孕(はら)んだ=着床して妊娠した子供が生まれる日を六十干支(ろくじっかんし)で表すと、どの干支の日になるのか❓・・・・・・というところから明らかにしましょう
🔸まずは下記の六十干支(ろくじっかんし)の組み合わせを一覧にまとめた、六十干支表(ろくじっかんしひょう)=六十干支花甲支表(ろくじっかんしかこうしひょう)をご覧ください、
上に掲示している表で明らかなように、六十干支(ろくじっかんし)とは、六十種類の干支の組み合わせを一覧にしたものです。
🔸干支(かんし)の干(かん)とは、天の気=宇宙・太陽からのエネルギ-を示すものであり、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸などの十種類の文字で表すことから、これらをまとめて十干(じっかん)と呼びます。
🔸干支(かんし)の支(し)とは、天=天干に対する地=地支であり、地球でもあり大地でもあります。天干=宇宙から降り注ぐエネルギーに対する、地球の状態を表すもので、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥など、これらをまとめて十二種類の文字で表すことから、これらをまとめて十二支(じゅうにし)と呼びます。
🔸天の気は陰と陽の二つの気に分かれて地に降り注ぎ、陰陽の二気を受けた地支=十二支も、天の気に従って陰の陽の二つの気に分かれます。陰の陽の二つの気に分かれたものを組み合わせて表したものが六十干支(ろくじっかんし)なのです。
🔸甲(きのえ)、丙(ひのえ)、戊(つちのえ)、庚(かのえ)、壬(みずのえ)など、末尾に「え=兄」が付く五つの天干(てんかん)=陽干(ようかん)と、
子(ね)、寅(とら)、辰(たつ)、午(うま)、申(さる)、戌(いぬ)からなる六つの陽の地支=陽支(ようし)とを組み合わせたものが、三十種類の陽干支です。
🔸乙(きのと)、丁(ひのと)、己(つちのと)、辛(かのと)、癸(みずのと)など、末尾に「と=弟」が付く五つの天干(てんかん)=陰干(いんかん)と、
丑(うし)、卯(う)、巳(み)、未(ひつじ)、酉(とり)、亥(い)からなる六つの陰の地支=陰支(いんし)とを組み合わせたものが、三十種類の陰干支です。
🔸そして、三十種類の陽干支と、三十種類の陰干支とを交互に配置して組み合わせて出来たものが六十干支表(ろくじっかんしひょう)=六十干支花甲支表(ろくじっかんしかこうしひょう)なのです。
🔸ようやく本題に入ったかと思えば、六十干支表(ろくじっかんしひょう)の説明に字数と時間を割いてしまいました。六十干支表(ろくじっかんしひょう)の説明はこのくらいにしておいて、「ト月十日」のほうに集中します。
🔸《庚申(こうしん)》の日にエッチをしたことで孕(はら)んだ=着床して妊娠した子供が生まれる日を六十干支(ろくじっかんし)で表すと、どの干支の日になるのか❓・・・・・・という話しでした。
🔸妊娠から出産までの日数は40週=280日と言われています。庚申の日は、六十干支表(ろくじっかんしひょう)の57番目ですから、60-57=3。280日ー3=277日。277日から六十干支(ろくじっかんし)4巡分である240日を引くと37日だから、六十干支表(ろくじっかんしひょう)の37番目の《庚子》の日が予定日=誕生日になります。
🔸実際には、これほど単純ではありませんし、「ト月十日」は「10カ月と10日」という意味ではなく、「当月を含めた十カ月と十日」ということでしたね。そこで直近の《庚申》の日をしらべると、11月19日でした。
🔸11月19日は旧暦10月23日です。旧暦10月を当月=ひと月目として数えると、2020年の旧暦6月23日でト月。さらに十日を足すと旧暦7月4日=2020年8月22日=《丁酉(ひのと とり)》の日ということになります。ちなみに、《庚申》の日だった11月19日から280日目となる《庚子》の日は、2020年8月25日です。
🔸旧暦には、ひと月が30日とする「大の月」と、ひと月を29日とする「小の月」があり、「ト月十日」が《丁酉(ひのと とり)》になる日が結構あるのです。
🔸《丁酉(ひのと とり)》の《丁(ひのと)》を「人工的な火」とみなし、《酉(とり)》を「盗り」の語呂としてみなすこともできます。石川五右衛門は生年月日が不詳であるにも関わらず、《庚申》の日から「ト月十日」後に生まれたと言われています。
🔸誤解の無いように申し上げておくと、これはあくまでもジンクス(jinx)・迷信ですから、有りえない(=Impossible)」な話しなのです。事件の当事者は、可能な範囲で生年月日から占うことも有るのですが、現に、《丁酉(ひのと とり)》の日に生まれた窃盗犯は知りません。
🔸もう一つ、私が尊敬している芸人さんは《丁酉(ひのと とり)》の日に生まれですが、いろんなエピソードや伝説を耳にすることはあっても、犯罪に手を染める人間でないことは周知の事実です。
🔸根も葉もない所から噂話を生み出されるのが世の常ですが、ターゲットにされるのは、「やりかねへん」と思われがちな方々ですし、噂話を生み出すのも決まった人たちであることが多いですから、噂話に振り回されないようにしたいものです。
お読みいただき、ありがとうございました。