引っ越しすることになった。

ただの引っ越しではない。

 


今のマンションは、とても便利で気に入っていたけど、残念ながら上階の人の騒音がひどくて出ることにした。

さながら強制退去のようなものである。

 


管理会社は全く動いてくれないし、ずっと鳴り止まない音がつらいし、ネガティブな時間だった。

 


上の住人も悪いが、管理会社はもっと悪い。

なにせ、何にもしない。

折り返しの電話すらしてこない。

やっと電話してきたと思ったら、何の用ですかと言わんばかりの対応。

こんな対応あってもいいのだろうか。

絶対に許せない。

たまりかねて、内容証明を送った。

次は弁護士を引っ張り出してこなければならない。

全く、引っ越してからも重い宿題が山積みだ。

 


引っ越し当日、色々あったなーと思いながらバタバタと荷物の運び出しに立ち会う。

 


新しく住む所は、いい所が見つかったのだから不満はないのだけれど、やっぱり管理会社の対応は不満いっぱいのままだし、なぜ被害を受けてる私たちが退去することになったのか、、

モヤモヤは相変わらず晴れぬまま、荷物の運び出しが終わった。

 


最後に、マンションのコンシェルジュに借りた台車を返しに行ったら、おばちゃんが出てきた。

台車のお礼を伝え、

「それじゃあ、、お世話になりました」と頭を下げようとしたら、

「お見送りしたいから、少し待っててね」と。

 


ん??なんだ?と思ったら、

仲良くしていたコンシェルジュのタナカのおじちゃんも出てきた。

「ごめんね、困っていたのに力になれなくて」

つぶらな目をショボショボさせながら、謝ってくれた。

 


違うよー!おじちゃん。

悪いのは対応しない管理会社だよ!

おじちゃん達は、いつも良くしてくれてたよー!

なんで謝るの!?

 


って、言いたかったけれど、かわりに出てきたのは涙だけ。

これじゃあ余計に困らせるではないか。

 


マンションのロビーで、

ショボショボ目のおじちゃんと、年甲斐もなく涙でくしゃくしゃの変な女がペコペコし合う、とってもかっこ悪い最後の挨拶になってしまった。

 


おじちゃんとおばちゃんに見送られてマンションをあとにしたら、それまでのモヤモヤがすーーっと晴れていった。

 


管理会社よ、おじちゃんとおばちゃんのあったかさに免じて、内容証明にとどめ、訴訟は起こさずにいてあげよう。

せめておじちゃんとおばちゃんを大切にしてくれや。

 


少しの気遣いが、他人のことをこんなに救うのだな。