今、細川家の宝物を保存・展示する永青文庫で「春画展」が12月23日まで開催されている。
浮世絵が世界的に有名なのは人物画や風景画だけではなく、それぞれの時代の有名画家による春画に名品が多く残されているからである。

先日、抽選で当たった春画についての専門家の講演会の後、春画を鑑賞した。
版画はもちろん、肉筆画の名品が、大英博物館をはじめ、アメリカの有名なコレクター、国内の美術館、個人のコレクションなど世界中から一堂に集められた日本初の春画展である。

私は今まで、出版済みの画集は別として、知人の持つ数点しか本物を目にしていなかったが、今回はその質はもちろん数の多さに圧倒された。歴史的な流れに沿って、性の描写のみならず、衣装や背景の緻密な描写は見事であった。

土曜日で満員混雑し、整理員が懸命に進行を促すが幸か不幸か遅々として進まず、時間はかかったがじっくり鑑賞できた。良く行く太田美術館ではこんな混雑を経験したことがない。

今回の混雑は数日前、朝日新聞に掲載された瀬戸内寂聴の記事で開催が知らされ、永青文庫理事長細川護煕氏から「ご覧になりたいでしょうが尼さんの貴女はお越しになれないでしょうから・・・」とのコメントを添え春画展の図録が送られたことに対し「なんと粋なお殿様でしょう」と締めくくっていたのを見た読者が、早速訪れたのだと推察している。

若い女性も多く見受けられ、3~4割が女性ではないかと思われた。老若男女が春画を明るい場所で楽しく鑑賞できるようになるまでには関係者の苦労があったと思われるが、さすが永青文庫は元首相が理事長を務めるだけのことはあると感心しながら帰途についた。勿論瀬戸内寂聴の送られたものと同じ図録を大事に抱えながら…
浮世絵というものは「絵師(えし)」「彫師(ほりし)」「摺師(すりし)」の共同作業で出来上がる。しかし、その仕事を企画し、販売する「版元」の力が圧倒的に強い。

したがって、版元が売れる企画だと思えば、絵師に江漢の絵を見せて「これを見本に絵を描け」といい、いわれた絵師は自分流にアレンジして描くことになる。

《東海道五十三次》でいえば、特に「小田原」「箱根」「三島」「庄野」などが、江漢のものといわれる原画に比べ広重の絵のほうが私には数倍面白く思える。

ネットで「司馬江漢 東海道五十三次」で検索してみて下さい。

参考資料:對中如雲著《広重「東海道五十三次」の秘密》
前回の問題の解答

ゴッホが模写した広重の絵は「大はしあたけの夕立」と「亀戸梅屋舗(かめいどうめやしき)」でした。
キーワード“ゴッホの模写”で、ゴッホは広重のみならずミレーの作品など沢山の模写を残していることがわかる。


さて、広重の「東海道五十三次」は多くが司馬江漢の模写だと言われている。事実元絵が司馬江漢のものだと思われるものが多い。では広重は悪い絵師なのか・・・

続きは次回