暇だからサトイモの様子みてくる と言って、

炎天下の中を畑に出かけた父が

そのまま帰らぬ人になってしまったとき。


「どうしてもっと強く止めなかったんだろう」 と、悔やむ母に

「人が死ぬ場所は、その人が生まれたときから決まってるんだから

 (行かないように引き止めても)結果は一緒なんだよ」

って、母の友人が慰めていた。


父が出かける直前に、

みのさんのお昼の番組で『熱中症』の特集をやっていたらしく、

母は「ちゃんと見て、気をつけんといけんよね」とも

言っていたらしい。


いくら知識としてわかっていても、

自分は大丈夫だと過信してしまっていたら、

やっぱり結果は知識がないのと同じになってしまうかもしれない。


それでも、

TVや新聞で熱中症がとりあげられているのを見るたびに、

熱中症の怖さが今みたいに知られていたら

父はあんなに突然ひとりで逝ってしまうことはなかったんじゃないかと

思わずにはいられない。


11年目の夏。


   
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