4月の記録は4月のうちに。
と焦っているのに、
思い出話など余談多めのダラダラダラダラ長文。
(いつものこと)
ふだんは観ないタイプの作品だけど
地元開催だったので友人とふたりで行ってきた。
音楽劇『コーカサスの白墨の輪』@ハレノワ(中)
(2026.4.18(土)14:00)1階11列センター(ハレノワ一般)
【上演時間】2時間45分予定(70/休20/75分)
【チケット】一般 8,000円/U24 5,000円
【スタッフ】
原作:ベルトルト・ブレヒト(東宣出版 酒寄進一訳)
上演台本・演出:瀬戸山美咲
音楽監督:坂井田裕紀
美術:二村周作
衣裳:髙木阿友子
【キャスト】
グルーシェ(料理女):木下晴香
シモン(兵士):平間壮一
ナテラ(太守夫人):sara
スリカ(召使いのアンドロイド):加藤梨里香
歌手:一路真輝
アズダク(元太守の酒飲み男):眞島秀和
弁護士、他:森尾 舞
ユスプ(グルーシェの婚約者)、他:武谷公雄
ゲオルギ(太守)、他:辰巳智秋
乳母、他:斎藤瑠希
シャウヴァ、他:大久保祥太郎
西尾友樹、阿岐之将一、酒巻誉洋、浜野まどか
【ミュージシャン】
Bass:大林亮三/★木村朋徳
Guitar:★大舘哲太/鶴田伸雅
Drums:小牧佳那
【あらすじ】
未来の戦争が終わった後、荒れ果てた大地に人々が戻ってくる。土地の所有をめぐって対立する人々に向けて、旅の一座の歌手(一路真輝)が、かつて起きた戦争の物語を歌い始める。
復活祭の日、太守が倒されるクーデターが起きる。
料理女・グルーシェ(木下晴香)は混乱のさなか、戦地へ赴く兵士シモン(平間壮一)と結婚の約束をする。シモンと別れたグルーシェは、城から逃げ出す太守夫人・ナテラ(sara)が“こども”を置き去りにするのを目撃する。グルーシェは、友人の料理女・スリカ(加藤梨里香)の制止を振り切り、“こども”を連れて逃亡。厳しい寒さの中 たどり着いた辺境の地で、グルーシェはシモンを待ちながら“こども”を育てていく決意をする。
一方、呑んだくれのアズダク(眞島秀和)は、戦争の混乱の中、でたらめな経緯で裁判官に選ばれる。アズダクは賄賂を懐に入れ、イカサマまがいの判決を下していく。
やがて内乱が終わり、ナテラが“こども”を連れ戻しにやってきた。
ナテラとグルーシェ、どちらが“こども”の母親か。アズダクによる裁判が始まる。
(公式より)
原作は、1944年にベルトルト・ブレヒトがナチスの弾圧を恐れてアメリカで亡命生活を送っている中で書かれた戯曲。
“こども”を巡って生みの親と育ての親、どちらが真実の母親かを争う裁判を描いた。(私は未読)
日本でも何度か上演されているらしいが、全く知らず…
この度、瀬戸山美咲氏の演出により未来の物語として再構成され、オリジナルの楽曲を全編にちりばめた音楽劇となった。とのこと。
そう言えば、、、(余談)子どもの頃、家に「コーカサスのとりこ」という本があった。
何か関係あるのかな?と検索してみたが、全く関係なかった(トルストイ作だし)
公式のあらすじ以外の予備知識は無いまま観劇したが、わかりやすくて面白かった。
まるで今の世界情勢を示唆しているかのような、ズシンとくるラストが何とも言えない。
セットは、ステージ奥から客席に向かって伸びている道を模した八百屋舞台。その道の下手脇にミュージシャン。
最初は何も無くて殺伐としていたが、大きなパネル(?)が扉になったり、回転したり。場面に合わせて絞首台など、ナニゲに出演者が運び込んでいたのも面白かった。
照明もとても綺麗。
このホールの客席はメッチャ段差ついてるので(11列目でも前列の人が視界に入らないレベル)、舞台上に映る照明がよく見えた。
場面に合わせて、カラフルだったりシンプルだったり。
アズダク登場時のゴチャゴチャした照明は、キャラに合わせたイメージかな。
場面やキャラのイメージだけでなく、具体的な役割の照明もあった。グルーシェが吊り橋を渡る時(細長い照明)、タマゴを取り合う“白墨の輪”(円形の照明)。
音楽劇ということで、歌あり。ポップス調だったりロックだったり。
未来設定だし、若い役者がメインなのでよく合っていた。みんな歌ウマいし良かった。
ミュージシャンが途中で役者として登場したのも面白い。
プロローグ、戦争で荒廃した土地の所有をめぐって言い争う2つのグループと仲裁役。
話の内容から、彼らがアンドロイドであることがわかる。
頭に指を当ててから空間を指し示して そこに映像を映し出したり、お互いの提案なども指先ひとつで自分の脳内から相手の脳内へ移したり(←実際には何も見えないのでパントマイム状態)。
近未来どころじゃない、めっちゃ未来の設定。
そこへ旅の一座が表れ、言い争いをおさめるために昔(っつっても今より未来)の戦争の歌を歌い始める。
その歌の内容こそが『コーカサスの白墨の輪』。
劇中劇なのね。
未来設定の中で、特にインパクトあったのは “こども”。
太守夫人ナテラ(sara)がクーデターの際に置き去りにした“こども”を、料理女グルーシェ(木下晴香)が保護する。という流れなので
てっきり子役が演じるのかと思ったら、受精卵を培養(?)するタマゴ型の容器なのだった。(←エネルギー供給して育てる)
木下晴香ちゃん、上手いなー。
見た目は無機質なタマゴを、グルーシェが愛おしそうに抱き、話しかけ、手編みの帽子や服を着せたり。
晴香ちゃんの愛情を込めた演技があったから、あのタマゴに生命を感じられたし、それが無ければ物語が破綻していた。
そして、他の子供たちに「この子も一緒に遊んであげて」と頼んでみたり、タマゴと生きるために望まぬ結婚をしたり、タマゴを命懸けで守ったり……
そもそも自分の子ではないタマゴに懸ける思いに、うっすら狂気すら感じる。
もちろん歌も良くて、技巧に走らない素直な発声、よく通る声質。とても好き。
シモン(平間壮一)とキャッキャウフフしてる歌、ナテラ(sara)と対立する怒りの歌。悲しみ、切なさ、憂いを秘めた歌。
デビュー作
『ロミオ&ジュリエット』('17)から観ていて、最初の頃は若干地味だったのにアッという間に洗練された。ま、もともとスラリとして綺麗な子だったし、歌も芝居も上手くてヒロイン向き。
欲を言えば もう少し華が欲しいな…と思わないでもないけど、この子が出るなら観てみたいと思わせてくれる役者さん。
たしか、素人カラオケ番組に出ていた晴香ちゃんを見た小池修一郎センセイがロミジュリオーディションを受けるよう連絡した(←プロデューサー経由で)という。奇跡の出会いと小池修一郎に感謝。
で、出演者のクレジットは晴香ちゃんの次は平間壮一くんなんだけど
ワタシ的には眞島秀和さんだな…と思ってフライヤー見たら、眞島さんトメだった。
そりゃそうだよね。アズダクの大岡裁きがこの物語の核なんだから。
眞島秀和さん、好きな役者さんのひとり。
初めて観たのは映画『スウィングガールズ』('04)だ(と思う)けど、そこから着実に一歩一歩前進して大きな役が付いてきた印象。(ワタシ的第一次ブレイク期は朝ドラ『ゲゲゲの女房』('10))
なぜか最近はサラリーマン役の印象しかないけど(『居酒屋新幹線』観てる📺️)(いや大河『べらぼう』では将軍様だったわ そう言えば)
舞台は初めて拝見したのだけど、身長高くてスリムなスタイルでメッチャ舞台映え。ヘンテコなガウンも着こなせちゃう。
セリフも聞き取り易くて良き。声がいいんだな、柔らかく温かみのある声。怒鳴ってても うるさくない声。
あんなに穏やかなお顔立ちなのに、ハチャメチャな酔っ払い姿もお似合い。からの、裁判官に担ぎ上げられる ええかげんな展開に笑う。
でも判決を下す時、言い争うグルーシェとナテラに背を向けて考えているらしい後ろ姿に、本来のアズダグの姿とその“正義”が垣間見えるのスゴい。
完全に、もうひとりの主役。正しく、演技巧者。
saraちゃんは、“こども”の母である太守夫人ナテラ。
贅沢三昧ワガママ放題の かなり強烈なキャラで、毛先がツンツンしたボブヘアにツリ目メイク、テカテカの紫の衣装。
で、パンチの効いた歌、めっちゃハマるんだコレが。
『ドリームガールズ』('23.2)で初めて歌を聴いて、ぜひまた聴きたいと思い
『ファントム』('23.8)クリスティーヌ役のWキャストを わざわざsaraちゃんGETしたのに、体調不良のため全日程休演となり…
それ以降なかなか機会が無く、この度やっと観ることが(&聴くことが)できたのホント嬉しーー!
めっちゃブラボー!だったし、絶対クリスティーヌよりナテラのほうがハマる。クリスティーヌでもいいけど、このパンチある歌声を抑えるのは勿体ない。
そして、配役をきちんと把握してなくて「この子誰だろう?歌も芝居もウマいな〜」と思いながら観ていた、スリカ役。
加藤梨里香ちゃんだった。昨年のラスト帝劇『レ・ミゼラブル』のコゼット、可愛くてキラキラピチピチした感じが大好きだったんよ。
スリカはナテラの召使いのアンドロイド。とは言え、意思表示ハンパない。
正論吐いてナテラを怒らせ「お前は廃棄よッ」と電源切られグッタリ動かなくなるの可哀想だったし、そのあと電源入れてもらって再び文句タレてて可愛かったし笑
裁判の時はナテラに対して「優秀な遺伝子を買っただけのくせに!」とか言ってた(ナテラは財産相続のために子が必要だったという設定ではあるが、聞きようによっては残酷)
そして、グルーシェに対してはとても友好的でとても優しい。
そう言えば、私が観た『レミゼ』梨里香コゼット回のファンティーヌは木下晴香ちゃんだった、と思い出す。ふたりは過去で親子だったんだーー!と今作に全く関係ない繋がりで喜んだ私なのだった。
旅の一座の歌手は、一路真輝さん。
歌によって物語の世界に誘うストーリーテラーでもあるので、歌での説得力、求心力が必要なのだけど
ホントごめんなさい、、、わたくし昔から一路真輝さんの歌が苦手。個性的な抑揚のついた歌い方も、声質も。
とは言え一路さん、けっこう歌ウマ認定されているので、わたくしの耳がオカシイってことで許して。
ただ、その存在感は凄くて、舞台の端に現れただけで わかります。立ってるだけで放たれる、オーラ?
これはやっぱ一路さんでないと醸し出せない。
グルーシェの恋人シモン役、平間壮一くん。
『レディ・ベス』初演('14)で初めて見て、
『髑髏城の七人』『ロミジュリ』『ゴースト』など何度か拝見している。
毎度失礼なことを言うが、等身バランスの悪いスタイルと お顔立ちの微妙なオッサンみが、ちょっと苦手。
晴香グルーシェとキャッキャウフフしながらのデュエットは上手かったし、再会の場面の感情溢れる芝居も良かったし、なんなら冒頭の仲裁役も上手かったけど…
一路さんみたいに、個人的に苦手でも唯一無二の魅力を感じられるなら良いが、シモン役なら他にも いそうじゃん?て思っちゃうんよね。
くれぐれも、個人的な好みの問題です。
(画像はお借りしました)
その他のキャストで印象的だったのは
太守ゲオルギ役の辰巳智秋さん、そのデカさと相まって抜群の存在感と悪いヤツ感←
強烈キャラのsaraナテラとの並びは極悪同盟でした。
何の役かイマイチわからないまま見ていた大久保祥太郎くん。(いろいろ演じてたけど)
裁判の場面だったか、ちょっと面白い反応してて可愛かった。←アフタートークによると、アドリブらしい笑
めっちゃ印象的だったのは、武谷公雄さん。
いくつか役を掛け持ちされていたが、グルーシェの結婚相手(ユスプ?)が絶妙。なんとなく不気味さを漂わせつつもコミカルで、姑に水をかけられるシーンでは客席爆笑だった。
斎藤瑠希ちゃんはアンサンブル?せっかくの歌を堪能できなくて残念(て、歌ってるのに気付いてないだけかも)。
昨年の『SIX』ドタキャンして観られなかったので楽しみにしてたんだけどな。
タマゴの母親であると主張する、グルーシェとナテラ。
どちらを母親と認めるかの裁判。アズダクは、タマゴにロープを掛けてその両端を2人で引っ張り合い、勝ったほうを母親とすることに。
2人は白墨の輪の中でタマゴに掛けたロープを引っ張り合い、ナテラが勝つ。
が、アズダクは「“こども”のことを思うなら、力任せにロープを引くことなどできないはず」と言う。「タマゴが壊れることを恐れ、力を緩めたグルーシェこそ母親」と判決を下す。
わたくし、↑ここで やっと、こういう(子供を引っ張って取り合う)物語をいつかどこかで読んだ、と思い出した。
挿し絵の入った子供向けの本だった記憶……あれ『コーカサスの白墨の輪』だったんかな?
判決後、ナテラは何故か気を失って退場(←ちょっとコメディチック笑)。
タマゴの母親と認められたグルーシェは、シモンと結ばれて幸せに暮らしましたとさ、、、
というところまでが、おそらく原作どおり(だと思う)ハッピーエンド。
母親の愛情、親子の絆を描いた物語。
舞台では、タマゴにヒビが入ったところで暗転。
その後のストーリーが、スリカ(加藤梨里香)によって淡々と語られる。
幸せは長くは続かず、再び戦争が起こる。タマゴから孵って成長した息子ミヘルも戦地へーーー
ラストは、ステージが大きな白い布で覆われる。
客席後方から布を広げた状態で、出演者が両端を持って客席通路を通りステージへ上がるという演出だったが、これは、戦争で何もかも失った世界なのかな、と。
そして、そこに立ちつくすアンドロイドたち。残っているのは彼らだけ……?
(画像はお借りしました)
2022年2月に始まったロシアとウクライナの紛争は、2026年4月現在、未だ続いている。
その他にも火種のようなものは世界のあちこちにあって、今どこで戦争が勃発してもおかしくない。
そんな中、2月28日に行われたアメリカとイスラエルのイランに対する大規模攻撃。以降、中東情勢は更に悪化した。
アンドロイドたちの最後の歌は、尽きることなく繰り返される戦争を憂うものだった。
演出の瀬戸山美咲さんの意図的なメッセージなのだろうが、あまりにもタイムリーで戦慄。
戦後80年と言われるが、今はもはや“戦前”なのかもしれない。
本来のテーマである親子の絆についても、
奇しくも 京都で悲しい事件が起きた直後の観劇だったため、考えさせられるところがあったり。。。
このメッセージ性と、胸にズシンとくる感じ。
わざわざ観に行かないタイプの作品だっただけに、地元での開催は本当にありがたかった。
いろいろ踏まえた上で、もう一度しっかり観たい。
WOWOWとかテレビ放送してくれんかな。
終演後はアフタートーク(ポストトークってゆーの?)がありました。
登壇者は、木下晴香ちゃん・平間壮一くん・大久保祥太郎くん(司会兼務)。
客席通路を走る演出が多くて 終わったらけっこう疲れてます、とか
それぞれ食べたいものを言い合っていたから皆で食べに行くのかと思ったら全員別行動で驚いた(平間くん談)とか
楽しいトークだった。
演出の瀬戸山美咲さんも客席にいらしていたようで、3人が壇上から何度か話しかけていた。
瀬戸山さんもトーク出てくれたらよかったのにぃ〜
【公演日程】
東京:世田パブ、3/12(木)〜30(月)
兵庫:兵芸(中)、4/11(土)・12(日)
岡山:ハレノワ(中)、4/18(土)・19(日)
佐賀:鳥栖、4/24(金)・25(土)
愛知:春日井、5/2(土)・3(日祝)
ズシンときたあとは美味しいもの食べて帰りました。
おじいちゃんとおばあちゃんたちがやってるお店で
和牛手づくりハンバーグ↓
めっちゃ美味しくて大好き。
おばんさい風の付け合わせが盛りだくさんで
食後のコーヒーまで付いて、なんと1,000円。
和牛焼肉、豚生姜焼き、煮魚など
いろいろなメニューがあるけど、一律1,000円。
凄くね?
ハレノワから商店街を北へ歩いて2〜3分。
もし岡山に来たら、行ってみてね。
(ラストオーダー17:30)