風
風の音が好き
無用心だけど
ぼくは、こんな夜は窓を開けて
風の声を聞きながら寝むるんだ
遠くの空を駆けてきた、風は
山ほど、でっかい、大きな深呼吸で
ふ~ ふ~ と
色んな匂いを運んできてくれる。
色んな音を運んできてくれる。
風よ
君がきた方向は
俺がよく知ってる、あの山向こうからか?
じゃあ、あの、よく遊んだ公園を通ってきてくれたかい?
こけて、一人ぼっちで泣け叫んだ、あの浜辺を通ってきたんだろうね。
風よ、大きな風よ
もう会えない人と歩いた、あの街を越えてきたのかい?
キラキラした、故郷(ふるさと)の方から吹いてきたのかい?
酔っぱらって、朝まで、うなだれたあの駅も通ってきたのかい?
お、この音は、学校のグランドの網を揺らす音
お、この匂いは、夏草の子供が生えてきた匂い
お、どこかで犬が鳴いている。
お、遠くの方でゴミバケツがひっくり返ったな。
まるで空を飛んでるみたいに
音で、匂いで、包んでくれる。
風よ
ほんの一時、小さな僕の部屋で休んだら
また何処かに流れていくだろう?
そうか
そっちの方向には、好きなやつがいる。
もっともっと遠くの、その方向には、友がいる。
どうか、ついでに
君と一緒に伝えておくれ
やあ、元気かい?
安心して、おやすみ、大丈夫だよ。って
優しく包んで、つたえておくれ。


















