エロスは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。
エロスには政治がわからぬ。
エロスは、村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。
けれどもエロスに対しては、人一倍に敏感であった。
「人の心を疑うのは、もっとも恥ずべき悪徳だ」
原題は人間の信頼と友情の美しさを、簡潔な力強い文体で表現した
太宰治中期の代表的短編である「走れメロス」です。
もう数珠玉のように、心をしめつける言葉たちが溢れています。
でね僕が思うに、人類みんなが走るエロスの塊だったりします。
好きな人との待ち合わせに遅れるから走ったり、
借りていたエロビを今日中に返却しないと
延滞料がつくからとか深夜に走ったり、
デートの最後に「今夜は返したくない」なんて口走ったり、、、、
もうね走ること全ての理由がエロスに結びついている。
オリンピックのランナーだって最初は
好きな子を振り向かせたくて、付き合って手を握りたくて
アフリカの大地を走りだしたのかも知れません。
「悪心を抱いている、というのですが、
誰もそんな、悪心を持っては居りませぬ。(太宰・走れメロス)」
同じように、誰もがエロスを心に抱いています。
コリン星からやって来たゆうこりんや、
あんなに純粋そうに見える「堀北まき」ちゃんだって
エロスを抱いています。
えなりかずきだって、普段はエロス全快かもしれません。
「ぴ、、、ピー子さん、、、おれ、、、前からあなたが」
「いやよ、、、えなり君、、、駄目、、、かずき、、ぁぁ」
もうね、人類がエロスに対して気が散らなければ、
きっと21世紀はブレードランナーで描かれた世界くらいには
車も宙に浮きながら、文明は発展していたはずです。
「呆れた王だ。生かして置けぬ(太宰・走れメロス)」
例えば、もう少しでノーベルやアインシュタインクラスの
物理学的な新物質を発見できるはずだったのに、
「あぁ今日は彼女とデートだわ、早く切り上げなきゃ」って
思ったばっかりに、あと一個薬品を足せば見つかった
万能薬にたどり着けなかった悲しい学者だっていたはずです。
まぁエロスには光と影があるのです。
ええ、たかがエロスに負けちゃいけないんです。
でもね、毎日会社で怒られたり、学校で宿題忘れて立たされたり、
実は新婚なのに奥さんがニューハーフと初夜で気づいたり
40過ぎて不倫がばれて離婚調停したりして、
あぁ人生負けてばっかだわ、、、なんて思っているとしても…
僕らは大きなレースの勝者なんです、誰もが。
「エロスは思った、我々は勝者だと(ユウキ著・走れエロス)」
まぁこの世に生を受けて以来、我々はお受験だの、
出世競争だの、パン食い競争だの、結婚での勝ち組と負け組だの
日々の日常で大いなる競争にさらされ、日々の生活に疲れています。
でもね、思い出して欲しいんだ、もし落ち込んでいるんなら。
君は三〇〇〇〇〇〇〇〇分の1のレースの勝者だってこと。
そう、僕らは生まれながらにして
受精という、精子と卵子の3億分の1の壮絶なる
サバイバルレースを勝ち抜いた勝者なんだってこと。
もうね、この世に生を受けたこと自体が優勝者の証なんです。
その後は色んなことで負けたり勝ったりしてますが、
人生負けつづけなんて思っている方がいたとしたら、
「私は昔、命を賭けた三億人が参加したレースで
優勝したことあるんだ」って自慢してもいい。
まぁ話されてる相手も勝者ですが。
こっちにパンテリンがあるとラモスが叫んでも
あっちにもパンテリンはあるのです。
しかし。
つまり、この世に生を受けてきただけで、
3億分の1のレースを勝ち抜いた勝者なんです。
だからチャンピオンとして、命は大事にせにゃならんのです。
負け犬、負け組、勝ち組、セレブなんて
勝手に色づけなんて意味はございません。
そうだ、生きてるだけで丸儲けなんだ。
だからエロスから始まって結ばれた僕らが、
生まれてからもエロスに付き動かされて走ったとしても、
それはウイニングランなんです。
そして、最近すべてがうまくいかないなぁなって落ち込んでいても、
それは、ウイニングラン中に起こっているハプニングなんだから
必要以上に落ち込まないでいいのです。
変な奴に迷惑かけられても、
ウイニングラン中になだれ込んできた観客と思えば
うん、変な応援ありがとうって、優しく手を触れるのです。
うまくいかないことが続いても
ヒーローインタビューは何を言おうかしらって
明るいことを考えてもいいんです。
だから、頑張ろうぜ MY FRIEND!
ひとりの少女が、緋(ひ)のマントをエロスに捧げた。
エロスは、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
「エロス、君は、まっぱだかじゃないか。
早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、
エロスの裸体を皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」
勇者は、ひどく赤面した。
あんた変質者やがな、メロス。
(ユウキ著 走れエロス)