安重根をご存知ですか?
日本では、伊藤博文首相を暗殺した朝鮮人としか、認識がないと思います。
でも、韓国、北朝鮮では英雄です。
どうして、両者ではこのように意見が分かれるのでしょう?
小室直樹先生の本にそのことが書かれていましたので、ご紹介しておきます。
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安重根とはいかなる人物か?
満鉄の筆頭理事で伊藤の寵愛を受けていた田中清次郎は、「あなたが今まで会った世界の人々で誰が一番偉いと思うか」の問いに対して、言下に「それは、残念ではあるが、(伊藤を殺害した)安重根である」と言い切った。(安藤豊禄『韓国わが心の故里』原書房、1948年)
田中氏は、伊藤公に大変可愛がられた人であるから、残念に決まっている。そして、当時の日本にとっては、日本近代化の立役者たる伊藤公を暗殺したのだから、安重根ほど憎むべき者はいないはずである。それでも、田中は恩人の仇、安重根こそが世界一立飯な人物であると言下に断言したのである。
旅順監獄における安重根の取扱は丁重を極めた。三度の食事はみんな白米、下着も4枚の麺入り布団も上等、ミカン、リンゴ、ナシなどの果物が毎日三度も出され、煙草も西洋の上物であった(中野泰雄『安重根』亜紀書房、1984年)。極刑に処されることは明らかであったが、まさに国士としての待遇であった。
平石旅順高等法院長をはじめ、看守、判事、検事にいたるまで、安重根に接する者は基礎って揮毫を求めた。彼は墨痕淋漓「為国献身軍人本分」と大書した。「お国のために我が身(命)を献じる(挺する)のは軍人の本分(務め)なり」という意味だ。
驚くべきことではないか?それは、安重根の論理と態度とが、あまりにも見事であったからである。安重根の論理によれば、伊藤暗殺の理由は、彼が韓国の独立を奪おうとしたことにあるという。しかし、彼の意識のなかには韓国一国の独立があっただけではなかった。それが、日本のためでもあるという。日本の最大の重臣である伊藤博文を殺すことが、なぜ日本人のためになるのだろうか。
ここに安重根の論理を理解する要諦がある。
明治天皇は、対露宣戦の詔勅において、日本の戦争目的は韓国の独立を全うし、東洋平和を守ることにあると宣うた。これを聞いた韓国人は大いに感激し、日本軍に協力する者も多かった。日本軍の戦果をわがことのように喜んでいた一人が安重根であった。
しかし、伊藤は日韓併合を目的にして、韓国の独立を奪い、東洋の平和を乱した。これは天皇の詔勅に背くことにもなる。ゆえに、私は逆賊たる伊藤を殺した、という。この動機だと、安重根は日本の意識では勤王の志士となる。明治維新の尊王の機運が残っているこの時代に、彼の論理は多くの日本人の尊敬を集めた。また、この論理では日清・日露で戦死した日本人も、伊藤によって裏切られ殺されたことになる。
このように安重根は公判における最終弁論において陳述した。彼の論理は、日本人の想像を超えて展開するが、日本人にも納得し得るものであった。この時代の日本人への憎悪にもかかわらず、何とも一貫した論理ではないか?日本人は、志士でも誰でも、生命を捨てて人を殺すとき、これほど透徹して頭は動かない。論理が動き出すことはないのである。
小室直樹『数学嫌いな人のための数学』p64~66
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つまり、安重根の透徹した論理では、日本のため、天皇のため、アジアのために伊藤博文を殺したということになります。
そういう点で、今でも韓国で英雄とされているのでしょう。
北朝鮮でも英雄でしょうが、金一家が崇拝されているので、昔の人しか知らないでしょうね。
多分、日本でも、教科書に出てくる暗殺者程度の扱いでしか無いと思います。
あの時代、アジアの独立を建前として、韓国、中国に進出した日本が、実質的には、日本語の強制、宗教の強制、習慣の強制を敷いていたのであり、それを侵略とは呼ばない・・・という論理は、日本側の都合のよい解釈であり、未だに、韓国、中国が反発するのは、その建前と本音が未だに変わっていない日本の考えを批判しているのかもしれません。
一人の人間が、住む場所が変わると英雄、暗殺者となる・・・それが歴史でしょうが、どちらの考えも取り入れて理解することが、歴史認識であると私は考えています。
参考文献&引用文献

数学嫌いな人のための数学―数学原論
韓国わが心の故里―財界人の昭和史
安重根―日韓関係の原像
日本では、伊藤博文首相を暗殺した朝鮮人としか、認識がないと思います。
でも、韓国、北朝鮮では英雄です。
どうして、両者ではこのように意見が分かれるのでしょう?
小室直樹先生の本にそのことが書かれていましたので、ご紹介しておきます。
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安重根とはいかなる人物か?
満鉄の筆頭理事で伊藤の寵愛を受けていた田中清次郎は、「あなたが今まで会った世界の人々で誰が一番偉いと思うか」の問いに対して、言下に「それは、残念ではあるが、(伊藤を殺害した)安重根である」と言い切った。(安藤豊禄『韓国わが心の故里』原書房、1948年)
田中氏は、伊藤公に大変可愛がられた人であるから、残念に決まっている。そして、当時の日本にとっては、日本近代化の立役者たる伊藤公を暗殺したのだから、安重根ほど憎むべき者はいないはずである。それでも、田中は恩人の仇、安重根こそが世界一立飯な人物であると言下に断言したのである。
旅順監獄における安重根の取扱は丁重を極めた。三度の食事はみんな白米、下着も4枚の麺入り布団も上等、ミカン、リンゴ、ナシなどの果物が毎日三度も出され、煙草も西洋の上物であった(中野泰雄『安重根』亜紀書房、1984年)。極刑に処されることは明らかであったが、まさに国士としての待遇であった。
平石旅順高等法院長をはじめ、看守、判事、検事にいたるまで、安重根に接する者は基礎って揮毫を求めた。彼は墨痕淋漓「為国献身軍人本分」と大書した。「お国のために我が身(命)を献じる(挺する)のは軍人の本分(務め)なり」という意味だ。
驚くべきことではないか?それは、安重根の論理と態度とが、あまりにも見事であったからである。安重根の論理によれば、伊藤暗殺の理由は、彼が韓国の独立を奪おうとしたことにあるという。しかし、彼の意識のなかには韓国一国の独立があっただけではなかった。それが、日本のためでもあるという。日本の最大の重臣である伊藤博文を殺すことが、なぜ日本人のためになるのだろうか。
ここに安重根の論理を理解する要諦がある。
明治天皇は、対露宣戦の詔勅において、日本の戦争目的は韓国の独立を全うし、東洋平和を守ることにあると宣うた。これを聞いた韓国人は大いに感激し、日本軍に協力する者も多かった。日本軍の戦果をわがことのように喜んでいた一人が安重根であった。
しかし、伊藤は日韓併合を目的にして、韓国の独立を奪い、東洋の平和を乱した。これは天皇の詔勅に背くことにもなる。ゆえに、私は逆賊たる伊藤を殺した、という。この動機だと、安重根は日本の意識では勤王の志士となる。明治維新の尊王の機運が残っているこの時代に、彼の論理は多くの日本人の尊敬を集めた。また、この論理では日清・日露で戦死した日本人も、伊藤によって裏切られ殺されたことになる。
このように安重根は公判における最終弁論において陳述した。彼の論理は、日本人の想像を超えて展開するが、日本人にも納得し得るものであった。この時代の日本人への憎悪にもかかわらず、何とも一貫した論理ではないか?日本人は、志士でも誰でも、生命を捨てて人を殺すとき、これほど透徹して頭は動かない。論理が動き出すことはないのである。
小室直樹『数学嫌いな人のための数学』p64~66
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つまり、安重根の透徹した論理では、日本のため、天皇のため、アジアのために伊藤博文を殺したということになります。
そういう点で、今でも韓国で英雄とされているのでしょう。
北朝鮮でも英雄でしょうが、金一家が崇拝されているので、昔の人しか知らないでしょうね。
多分、日本でも、教科書に出てくる暗殺者程度の扱いでしか無いと思います。
あの時代、アジアの独立を建前として、韓国、中国に進出した日本が、実質的には、日本語の強制、宗教の強制、習慣の強制を敷いていたのであり、それを侵略とは呼ばない・・・という論理は、日本側の都合のよい解釈であり、未だに、韓国、中国が反発するのは、その建前と本音が未だに変わっていない日本の考えを批判しているのかもしれません。
一人の人間が、住む場所が変わると英雄、暗殺者となる・・・それが歴史でしょうが、どちらの考えも取り入れて理解することが、歴史認識であると私は考えています。
参考文献&引用文献

数学嫌いな人のための数学―数学原論
韓国わが心の故里―財界人の昭和史
安重根―日韓関係の原像