弁護側「時効成立認めて」　三重のホテル強殺控訴審　名古屋高裁

　三重県上野市（現伊賀市）のビジネスホテルで平成９年４月、フロント係の男性＝当時（４８）＝を刺殺し売上金を奪ったとして強盗殺人罪に問われ、一審津地裁で無期懲役判決を受けた元従業員、久木野信寛被告（４４）の控訴審初公判が１３日、名古屋高裁（石山容示裁判長）であり、弁護側は、時効が既に成立しているとして裁判を打ち切る「免訴」を求めた。

　２２年の改正刑事訴訟法で殺人罪などの公訴時効が撤廃されたのを受けて捜査本部が継続された事件で、初めて容疑者が割り出され逮捕されたケース。

　弁護側は１３日の公判で「法改正前の犯罪で、時効成立を認めるべきだ」と主張。「犯行後は生活態度を改め、更生の道を歩んできた」とも訴えた。検察側は控訴棄却を求め即日結審。判決は４月２４日。一審判決によると、９年４月１２日夜、久木野被告はかつて勤務したビジネスホテルに忍び込み翌１３日未明、フロント係の水野省造さんを刃物で殺し売上金１５９万円を奪った。昨年２月、三重県警に逮捕された。