Jin side 34-2.
→つづき
***
『それで...もしヌナが良ければ...』
『ふーん。みんなも一緒に、ってことでしょ?』
ニヤッと笑うヌナが愛おしくて思わず抱きしめた。
『みんながヌナに会いたがってるんだよ!っていうか、ヌナがいなきゃつまんないって!あいつら、僕なんかよりヌナ、ヌナってさぁ』
わざと派手に、大袈裟に振る舞った。
変わってしまった僕の体の線に、ヌナができるだけ気付かないように。
『あはは!もうなに急に!いいよ、いいよ。もちろん、みんなで行こ?楽しみにしてる!』
その笑顔を。
「その日」までは、僕に守らせて。
僕だけのものにさせて。
『実はね、クライアントが保有するビルに一室、テナント空きがあってね。そこをPRするのに実際に使ってみてほしいって言われてて。そこからちょうど花火がきれいに見えそうなんだ』
『わーお。すごいね、ドラマみたいなエピソードだ!さすが、ジン。会社の資本も随分大きくなってきたし、本当に立派だね』
小さな手で、僕の頭を撫でてくれる。
それだけで、本当に感じなくなるんだ。
体の不調なんて。
でも。
側から見ると、まったく違うんだろう。
僕はもう、ボロボロらしい。
ヌナの手の傷も、かなり薄くなってきたね。
「その日」までに、ちゃんときれいに治してあげたい。
僕を、消してあげたい。