今日は寒い。

みぞれ交じりの雨だ。これでは加治丘陵に行けないので、しばらくぶりにブログを書くとしよう。

（加治丘陵の林）

家の南側に入間川があり、橋を渡ってさらに８００メートルほど行くと、加治丘陵の登り口にぶっつかる。橋を渡るのを嫌がる犬だったが、渡ってしまうと途端に獣の本能がよみがえって、生き生きと動き出す。

（２００８年、家の椅子の下で）

登り口から獣道に分け入り、リードを外してやると、うれしさのあまり、ぴょんぴょん跳びはねて、崖を駆けまわる。谷底に落ちたり、道に迷ったり、タケノコを採っていていなくなったり、野宿したり・・・・、北２に画廊を構える福永さんと知り合ったり、それが３・１１のプルーンの来襲からぱったり行かなくなった。

この１０年のあいだに時代は悪くなる一方だ。知り合いの多くがいなくなり、友達づきあいしていた野暮らしホームレスのことごとくが逝ってしまった。福永さんの画廊は焼失し、７９の私も、４年前脳梗塞を喰らって、デモやビラ撒きどころか、ちょっとそこまで買い物にも行けなくなってしまった。

（消失して再建中の、福永さんの画廊兼住居　　　２０２２年撮影）

何もかも捨て、天気のいい日にヘルプマークをぶら下げて杖をつきつつ、加治丘陵をリハビリ歩きをしながら、いなくなった知り合いを思い出すだけの日々である。

楽しいことなどあまりない。

ふらつきなからら歩いていると、一般道路ほどではないが邪魔だどけといって突き落とされそうになるし、停まって通り過ぎるのを待っていると、何か文句あるの？と嫌みを吐きかけて通り過ぎる爺がいるし、わざとぶっつかってくるのもいる。

それでできるだけひとと出くわさないように獣道だとか、ウィークデイに歩くようにしているが、その日、早朝に北コースの３番目の難所・北１４に息を切らして登り詰めたら、何と、つがいの牛みたいなでかい動物が、目をキラキラさせて、１０メートルほどのところからこちらを伺っているとこるに出くわした。

驚いて後じさったら、雄の方が一歩二歩近寄ってきた。

杖を地面に置き、バックパックを降ろして、デジカメを取り出し、そのすきにメスの方は崖下に逃げ出したが、やっとの思いで雄の方は撮った。

（下は、雄のカモシカ、３/１４撮影）

（写りが悪いが上は、雄と雌の日本カモシカ。３/１４撮影）

（同じく）

――以来、加治丘陵を歩いていると、死にかかっている私の胸はときめく。また日本カモシカに出会えるのではないかと。