沖の島アートプロジェクト アーカイブ展によせて
2011年10月31日(月)から11月12日(土)まで、東京/日本橋にて2カ所同時開催となる
『沖の島アートプロジェクトvol.3 るくる島黄金伝説アーカイブ展』。
その展覧会ステイトメントを、前田裕哉氏よりいただきました。
高知県の鵜来島を舞台に、そこに伝わる歴史や説話を下敷きとした同名小説の世界を
追体験しつつ、謎を解く鍵として出展者たちの作品に接し、未完の作品世界を補完し
ていく――以上のように、この「るくる島黄金伝説」のあらましを祖述すると、現代
アート界に既に定着して久しいサイトスペシフィックというコンセプトや、近年オタ
ク文化界を越えて注目を集めている〈聖地巡礼〉というムーヴメントの一つの応用-
流用例として受け取る向きもあるかもしれない。
しかしこのイベントの射程は以上のような近年の諸動向との表面的な類似というと
ころとは別のレヴェルから測られなければならないだろう。ここにおいて目指されて
いるのは、現実の場所を体験することと小説の世界を追体験することとが一致してい
るという状態であり、さらに言うと、小説/物語の世界の変容が現実の場所のあり方
や様態を変容させるという経験である。そこでは作品は単にその場に置かれた物であ
ることをやめ、世界そのものに意味があるというアレゴリー的思考へと私たちを導く
ことになる。アレゴリーを通して、私たちは世界を拡張させ、現実を変える契機をつ
かむことができる。
かつて大江健三郎は『万延元年のフットボール』において、愛媛県の山村を伝統と
近代、過去と現在、現実と超現実といった要素が交錯する場として描き出し、登場人
物たちの変容を通して、これらの要素が複雑に絡み合って閉塞している日本という場
所の変容を試みた。この「るくる島黄金伝説」もまた、そのようなアレゴリカルな物
語を通して現実を変容させる試みにほかならない。
前田 裕哉
『沖の島アートプロジェクトvol.3 るくる島黄金伝説アーカイブ展』。
その展覧会ステイトメントを、前田裕哉氏よりいただきました。
高知県の鵜来島を舞台に、そこに伝わる歴史や説話を下敷きとした同名小説の世界を
追体験しつつ、謎を解く鍵として出展者たちの作品に接し、未完の作品世界を補完し
ていく――以上のように、この「るくる島黄金伝説」のあらましを祖述すると、現代
アート界に既に定着して久しいサイトスペシフィックというコンセプトや、近年オタ
ク文化界を越えて注目を集めている〈聖地巡礼〉というムーヴメントの一つの応用-
流用例として受け取る向きもあるかもしれない。
しかしこのイベントの射程は以上のような近年の諸動向との表面的な類似というと
ころとは別のレヴェルから測られなければならないだろう。ここにおいて目指されて
いるのは、現実の場所を体験することと小説の世界を追体験することとが一致してい
るという状態であり、さらに言うと、小説/物語の世界の変容が現実の場所のあり方
や様態を変容させるという経験である。そこでは作品は単にその場に置かれた物であ
ることをやめ、世界そのものに意味があるというアレゴリー的思考へと私たちを導く
ことになる。アレゴリーを通して、私たちは世界を拡張させ、現実を変える契機をつ
かむことができる。
かつて大江健三郎は『万延元年のフットボール』において、愛媛県の山村を伝統と
近代、過去と現在、現実と超現実といった要素が交錯する場として描き出し、登場人
物たちの変容を通して、これらの要素が複雑に絡み合って閉塞している日本という場
所の変容を試みた。この「るくる島黄金伝説」もまた、そのようなアレゴリカルな物
語を通して現実を変容させる試みにほかならない。
前田 裕哉
沖の島アートプロジェクト vol.3 るくる島黄金伝説アーカイブ展!!!
2009年より、高知県の最西端宿毛市沖の島諸島にて、アートによって地域課題解決の
糸口を探ろうと始まった『沖の島アートプロジェクト』。
2011年8月、3回目となる今回、プロジェクトの中心となったのが、
リアルRPG合宿『るくる島黄金伝説』。
それは、人口20名強という、とある限界集落島に実在する神社や井戸に、黄金伝説を解く
カギとなるアイテムとして、陶芸家やペインティングなどのアーティストによる作品が
設置され、同名小説をもとにした謎解きと、作品の鑑賞が同時に楽しめるというもの。
アーティストの一部は、黄金伝説を演じるキャストとしても登場しました。
まさに島に行った人しか観られない総合芸術イベントとなり、それは単なる
“サイトスペシフィック”というコンセプトにはおさまらない、
『物語を通して現実を変容させる試み』(前田裕哉氏による展覧会ステイトメントより)
となりました。小説、ペインティング、陶芸、映像、建築、食、リアルRPGなど多様な
視点から、島の宝を再発見し、島と人の心と心をつないだ、その成果を報告します。
【参加作家】中津川昴、隊長檸檬、海野貴彦、仁葉工芸、松岡友、酒井貴史、桜井貴、
豊田創、田中良典、斉藤誠
金理有、篠崎裕美子、森田浩路、土佐とも ほか
【会期】2011年10月31日(月)~11月12日(土)
会期中無休 入場無料
【時間】12:00-21:00
【場所】Galaxy http://www.newyork-art.com/galaxy/
【住所】東京都中央区日本橋本町2-6-1日本橋プラザビルB1F
【最寄】東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」より徒歩約5分
【詳細】http://oap.jpn.com/#05
http://twitter.com/rukuru2011
※11月3日(木・祝)19:00– 楠見清a.k.a.Dr.(アートストラテジスト)トークイベント
※11月4日(金)19:00- 「セレンディピティの扉4」出版記念パーティー
(協力:渋家) どなたでもご参加いただけるオープニングパーティー
※11月5日(土)- 19:30- 「限界集落からの思考~アートと社会の関係性の変容について~」
平野 真(高知工科大学教授)
河本 一満(寿オルタナティブネットワーク代表)
坂本 泉(こうふのまちの芸術祭/Artist In Residence Yamanashi代表)
菊池 由紀子(都筑アートプロジェクト)
稲村 初子(to-co-to主催)
濱田 竜也(沖の島アートプロジェクト主催者)/
川島 卓(高知工科大学大学院)
※11月6日(日)19:00- 関野吉晴(探検家・医師/武蔵野美術大学教授)トークイベント
※11月11日(金)18:00- 松本夏樹(カイロプティック商會代表/武蔵野美術大学教授)トークイベント
※11月12日(土)18:00- 川嶋慎平(探偵・作家)「セレンディピティの扉4」書評会
■同時開催決定!海路近未来出版社オフィス特別公開!
また、小説『るくる島黄金伝説』の出版社である(架空の)海路近未来出版社オフィスを
特別公開いたします!
【会期】2011年10月31日(月)~11月12日(土)
会期中無休 入場無料
【時間】12:00-21:00
【場所】GALLERY小暮・地下室(3Fはunseal contemporary
(アンシール・コンテンポラリー)様になります。)
【住所】東京都中央区日本橋堀留町1-3-18 堀一ビルB1F [MAP]
【最寄】東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅より徒歩7分、
日比谷線小伝馬町駅より徒歩4分、総武線快速新日本橋駅より
徒歩5分
糸口を探ろうと始まった『沖の島アートプロジェクト』。
2011年8月、3回目となる今回、プロジェクトの中心となったのが、
リアルRPG合宿『るくる島黄金伝説』。
それは、人口20名強という、とある限界集落島に実在する神社や井戸に、黄金伝説を解く
カギとなるアイテムとして、陶芸家やペインティングなどのアーティストによる作品が
設置され、同名小説をもとにした謎解きと、作品の鑑賞が同時に楽しめるというもの。
アーティストの一部は、黄金伝説を演じるキャストとしても登場しました。
まさに島に行った人しか観られない総合芸術イベントとなり、それは単なる
“サイトスペシフィック”というコンセプトにはおさまらない、
『物語を通して現実を変容させる試み』(前田裕哉氏による展覧会ステイトメントより)
となりました。小説、ペインティング、陶芸、映像、建築、食、リアルRPGなど多様な
視点から、島の宝を再発見し、島と人の心と心をつないだ、その成果を報告します。
【参加作家】中津川昴、隊長檸檬、海野貴彦、仁葉工芸、松岡友、酒井貴史、桜井貴、
豊田創、田中良典、斉藤誠
金理有、篠崎裕美子、森田浩路、土佐とも ほか
【会期】2011年10月31日(月)~11月12日(土)
会期中無休 入場無料
【時間】12:00-21:00
【場所】Galaxy http://www.newyork-art.com/galaxy/
【住所】東京都中央区日本橋本町2-6-1日本橋プラザビルB1F
【最寄】東京メトロ銀座線・半蔵門線「三越前」より徒歩約5分
【詳細】http://oap.jpn.com/#05
http://twitter.com/rukuru2011
※11月3日(木・祝)19:00– 楠見清a.k.a.Dr.(アートストラテジスト)トークイベント
※11月4日(金)19:00- 「セレンディピティの扉4」出版記念パーティー
(協力:渋家) どなたでもご参加いただけるオープニングパーティー
※11月5日(土)- 19:30- 「限界集落からの思考~アートと社会の関係性の変容について~」
平野 真(高知工科大学教授)
河本 一満(寿オルタナティブネットワーク代表)
坂本 泉(こうふのまちの芸術祭/Artist In Residence Yamanashi代表)
菊池 由紀子(都筑アートプロジェクト)
稲村 初子(to-co-to主催)
濱田 竜也(沖の島アートプロジェクト主催者)/
川島 卓(高知工科大学大学院)
※11月6日(日)19:00- 関野吉晴(探検家・医師/武蔵野美術大学教授)トークイベント
※11月11日(金)18:00- 松本夏樹(カイロプティック商會代表/武蔵野美術大学教授)トークイベント
※11月12日(土)18:00- 川嶋慎平(探偵・作家)「セレンディピティの扉4」書評会
■同時開催決定!海路近未来出版社オフィス特別公開!
また、小説『るくる島黄金伝説』の出版社である(架空の)海路近未来出版社オフィスを
特別公開いたします!
【会期】2011年10月31日(月)~11月12日(土)
会期中無休 入場無料
【時間】12:00-21:00
【場所】GALLERY小暮・地下室(3Fはunseal contemporary
(アンシール・コンテンポラリー)様になります。)
【住所】東京都中央区日本橋堀留町1-3-18 堀一ビルB1F [MAP]
【最寄】東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅より徒歩7分、
日比谷線小伝馬町駅より徒歩4分、総武線快速新日本橋駅より
徒歩5分
沖の島アートプロジェクト報告会!!
2009年より、高知県の最西端宿毛市沖の島諸島にて、アートによって地域課題解決の糸口を
探ろうと始まった『沖の島アートプロジェクト』。3回目となる今回は、2011年8月、諸島の
中でもより深刻な課題を抱える鵜来島を舞台に行われました。鵜来島の人口は20名強。
20年前から児童がおらず、将来は無人となる可能性のある島です。
そんな鵜来島の文化や資源を再び掘り起こそうと、「るくる島黄金伝説」「ケンチククウカン
実験」「鵜来島の食プロジェクト」「平野ゼミ映像プロジェクト」「ビジュアライズ計画」の
5つのプロジェクトが同時開催されました。
5つが相互に影響をあたえながら、中心となった「るくる島黄金伝説」は、島に実在する
神社や井戸、砲台跡といったスポットで、黄金伝説を解く鍵となるアイテムを探しながら、
島の宝をさがしだすリアルRPG合宿。このアイテムが、陶芸家やペインティングなどの
アーティストによる作品で、謎解きと作品の鑑賞が同時に楽しめるというもの。
アーティストの一部は、黄金伝説を演じるキャストとしても登場しました。
まさに島に行った人しか観られない総合芸術イベントとなりました。小説、ペインティング、
陶芸、映像、建築、食、リアルRPGなど多様な視点から、島の宝を再発見し、島と人の心と
心をつないだ、その成果を報告します。
沖の島アートプロジェクト報告会 HAMArt 関連企画
【日程】2011年11月3日(木・祝)
【時間】12:30-13:30
【場所】新・港村 Aゾーン http://shinminatomura.com/
【住所】神奈川県横浜市中区新港2-5 入口左手広場
【最寄】横浜みなとみらい線「馬車道」より徒歩約10分
【料金】無料(但し別途 新・港村パスポート 300円が必要になります)
【パネリスト】(予定)
・沖の島アートプロジェクト:濱田竜也(濱田企画事務所)
・るくる島黄金伝説実行委員会:中津川昴、隊長檸檬、海野貴彦、仁葉工芸、
松岡友、酒井貴史、桜井貴、斉藤誠、豊田創、羽田美恵子、田中良典
・ケンチククウカン実験:川島卓(高知工科大学大学院)
・ 鵜来島の食プロジェクト:土田千遥、谷川美穂、北添晴香、池内美保子(高知県立
大学健康栄養学科)
HP : http://oap.jpn.com/
Twitter:@rukuru2011 フォローしてください!
※内容は変更になる場合があります。
探ろうと始まった『沖の島アートプロジェクト』。3回目となる今回は、2011年8月、諸島の
中でもより深刻な課題を抱える鵜来島を舞台に行われました。鵜来島の人口は20名強。
20年前から児童がおらず、将来は無人となる可能性のある島です。
そんな鵜来島の文化や資源を再び掘り起こそうと、「るくる島黄金伝説」「ケンチククウカン
実験」「鵜来島の食プロジェクト」「平野ゼミ映像プロジェクト」「ビジュアライズ計画」の
5つのプロジェクトが同時開催されました。
5つが相互に影響をあたえながら、中心となった「るくる島黄金伝説」は、島に実在する
神社や井戸、砲台跡といったスポットで、黄金伝説を解く鍵となるアイテムを探しながら、
島の宝をさがしだすリアルRPG合宿。このアイテムが、陶芸家やペインティングなどの
アーティストによる作品で、謎解きと作品の鑑賞が同時に楽しめるというもの。
アーティストの一部は、黄金伝説を演じるキャストとしても登場しました。
まさに島に行った人しか観られない総合芸術イベントとなりました。小説、ペインティング、
陶芸、映像、建築、食、リアルRPGなど多様な視点から、島の宝を再発見し、島と人の心と
心をつないだ、その成果を報告します。
沖の島アートプロジェクト報告会 HAMArt 関連企画
【日程】2011年11月3日(木・祝)
【時間】12:30-13:30
【場所】新・港村 Aゾーン http://shinminatomura.com/
【住所】神奈川県横浜市中区新港2-5 入口左手広場
【最寄】横浜みなとみらい線「馬車道」より徒歩約10分
【料金】無料(但し別途 新・港村パスポート 300円が必要になります)
【パネリスト】(予定)
・沖の島アートプロジェクト:濱田竜也(濱田企画事務所)
・るくる島黄金伝説実行委員会:中津川昴、隊長檸檬、海野貴彦、仁葉工芸、
松岡友、酒井貴史、桜井貴、斉藤誠、豊田創、羽田美恵子、田中良典
・ケンチククウカン実験:川島卓(高知工科大学大学院)
・ 鵜来島の食プロジェクト:土田千遥、谷川美穂、北添晴香、池内美保子(高知県立
大学健康栄養学科)
HP : http://oap.jpn.com/
Twitter:@rukuru2011 フォローしてください!
※内容は変更になる場合があります。