2日にソウルで行われたK-1 WORLD GP 2010 開幕戦。
その全試合結果は以下の通り。
K-1 WORLD GRAND PRIX 2010 開幕戦
10月2日(土) オリンピック第一体育館 観衆:12719人
オープニングファイト ×ソン・ミンホ(1R 0'35" KO)ミョン・ヒョンマン○
第1試合 ×ハリッド・ディ・ファウスト(3R 0'06" TKO※タオル投入)ジャバット・ポトラック○
第2試合 ○セルゲイ・ハリトーノフ(1R 3'00" TKO)佐藤 匠×
第3試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
×レイ・セフォー(3R 判定 0-3)タイロン・スポーン○
第4試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
○グーカン・サキ(1R 2'14"KO)フレディ・ケマイヨ×
第5試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
×エロール・ジマーマン(2R 0'18" KO)ダニエル・ギタ○
第6試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
×ジェロム・レ・バンナ(3R 試合放棄)京太郎○
第7試合 K-1 WORLD GP2010 FINAL16
×エヴェルトン・テイシェイラ(延長R 判定 1-2)ピーター・アーツ○
第8試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
○マイティ・モー(3R 判定 3-0)ラウル・カティナス×
第9試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
○セーム・シュルト(3R 判定 2-1)ヘスディ・カラケス×
第10試合 K-1 WORLD GP 2010 FINAL16
○アリスター・オーフレイム(1R 2'05" KO)ベン・エドワーズ×
バダ・ハリ、レミーの欠場。さらに大会直前に、参戦が予定されていたルスラン・カラエフと元UFCヘビー級王者アンドレイ・アルロフスキーが欠場を発表するなど、最後までバタバタした今年のGP開幕戦。
その開幕戦の中から数試合をピックアップしてレビューしていきたい。
ジェロム・レ・バンナVS京太郎
たった一人、日本を背負って戦う現K-1ヘビー級王者京太郎。前回のピーター・アーツに続き今回もK-1を代表するリビングレジェンド、ジェロム・レ・バンナが相手。
ジェロムの圧力に押されがちの試合ではあったが、京太郎はカウンターを狙いつつ右のミドルで相手の左腕を殺しにいく戦術で応戦。
打ち合いに応じる場面もあったがジェロムの攻撃に致命傷を受けることは終始無かった。
逆に3R、京太郎のパンチがジェロムを捉え、グラつかせる場面を作ってからは京太郎ペース。
何とか押され気味だった展開を跳ね返し、判定で延長戦に持ち込む。
だが、その判定を不服としたジェロムが試合を放棄。京太郎の勝利となった。
まあ1Rがイーブン、2Rはジェロムで3Rは誰が見ても明らかに京太郎のラウンドだったので延長突入は誰もが予想できた事(とは言いつつ個人的には厳しいかなとは思った)。
いくら判定が不服とは言え、試合を投げ出したジェロムの行為はプロとして、否、スポーツをやっている人間にとって許されぬ行為だと思う。
ジェロムはスポーツ選手として恥を知ってほしい。
アリスター・オーフレイムVSベン・エドワーズ
7月のK-1 オセアニア大会を全て1RKOで勝利し、GP出場権を果たしたエドワーズを迎えたアリスターだが、全く問題無しの完勝!
首相撲からの膝蹴り無しというアリスター、シュルト潰しのルールもものともせず。パンチだけでエドワーズをマットに沈めた。
今年5月のStrikeforceではヒョードルを追い詰めたブレット・ロジャースに完勝し、王座防衛を果たしているアリスター。
MMAにおいてもK-1においても、本格的に恐ろしい存在になってきた。
セーム・シュルトVSヘスディ・カラケス
「K-1の絶対王者」シュルトとオランダの立ち技格闘技団体「IT'S SHOWTIME」のヘビー級王者カラケスの一戦。
昨年3月に横浜で対戦した時はカラケスが何も出来ずシュルトに判定で完敗したが、今回は、リベンジはならなかったがカラケスもシュルトを追い詰める戦いぶりを見せた。
実際、カラケスの右のアウトローは結構効いていて、シュルト得意の左の三日月蹴りがラウンドを重ねるごとに、徐々に出なくなって来ていた。
ただ地力に勝るディフェンディングチャンピオンを超えるまでには至らなかった。
エヴェルトン・テイシェイラVSピーター・アーツ
7月のK-1オセアニア大会で、オランダ修行の成果を発揮した極真世界王者テイシェイラとK-1のリビングレジェンド、ピーターの一戦。
去年までの空手家によく見られる「待ち」の状態ではなく、オランダ修行以降フットワークを使ってのアグレッシブな攻撃スタイルに変貌したテイシェイラは、その進化ぶりで百戦錬磨のピーター相手に好勝負を演じるも、やはりピーターの経験値で上手く纏められてしまった形。
前回の京太郎戦で減量に失敗し散ったピーター。
本来の体重に戻って、その実力と経験値を遺憾なく発揮した。
エロール・ジマーマンVSダニエル・ギタ
個人的にはこの試合がベストバウトであり、ギタこそが開幕戦のMVPだと感じた一戦。
1Rから必殺右のローキックで相手の足を潰しにかかり、さらに、左ミドルでジマーマンの右腕を殺しにかかったギタ。
早くもジマーマンを手詰まりにし、俺は見ていて「ギタ、エグいな~」と感じずにはいられなかった。
ジマーマンは2R開始直後に跳び膝を繰り出すも、簡単にギタに見切られ、逆にギタのパンチ連打を食らってKO負け。
ジマーマンにとってはもう2R開始直後の跳び膝が精一杯の攻撃だった。
相手の光を完全に消し去り、そして仕留める。
K-1でここまで完璧な勝ち方を見せられることって滅多にないので、ギタという選手の凄みを、ギタという男が持つ「殺し」を感じざるを得なかった。
グーカン・サキVSフレディ・ケマイヨ
共にヘビー級でありながらスピード自慢の両者。
しかしサキ自慢のローキックが物凄い音でケマイヨにヒットした瞬間にもう勝負ありと言っても過言ではなかった。
ケマイヨにとっては予想以上のスピードで向かってくるサキ。
ケマイヨは全く対応できず、一方的にKO負け。
更にスピードが増し、元々強烈だったローキックの威力も更に増したサキの進化ぶりだけが目立った試合だった。
その他、ベスト8進出を果たしたのは、タイロン・スポーンとマイティ・モー。
さて、今日、12月11日に東京で行われる(会場未定)K-1 WORLD GP 2010決勝戦のベスト8のカードが発表された。そのカードは以下の通り。
マイティ・モーVSピーター・アーツ
これはピーターが「圧勝しなければならない」試合。
マイティの一発は確かに怖いが、ピーターほどの実力がある選手であればマイティを完封するのは容易なはず。
セーム・シュルトVS京太郎
これはもう、カードを見た瞬間に
「そりゃあないよ・・・」
と思わざるを得なかったカード。
いくら京太郎と言えども、準々決勝からシュルトはねえだろ~と・・・。
100分の1の確率を1回目の持ってきて欲しいという願いはあるが、さすがに相手が悪すぎる・・・。
グーカン・サキVSダニエル・ギタ
開幕戦で光を放った者同士の対戦であり、共に殺傷能力の高いローキックを持つ者同士の対戦。
実は個人的には見てみたかったカードだったので実現してうれしいし、客観的に見てもこのカードこそが
準々決勝最注目のカード
だと思っている。
どちらのローキックが強いか!?
そしてどちらの「殺し」が勝るか!?
要注目!
アリスター・オーフレイムVSタイロン・スポーン
まあ大方の予想ではアリスター絶対優位かもしれないが、個人的にはスポーンのムエタイで培った技術に掛けてみたい。
アリスターの圧力を捌いて、どうにかミドルキックで相手の腕を殺していきたいところだが・・・。
まあ首相撲からの膝が禁止されている事が、この対戦にどう影響するかがカギか・・・。
今から2ヵ月後が楽しみになってきました!